第4話 翌日の登校
翌日、午前五時に目を覚ました俺はすぐにお風呂に入った。
ゆっくりとお風呂に浸かり、昨日のことを思い出していた。
「この壁の向こうに綾崎先生がいるんだよな・・・・・・」
今はまだ寝てるだろうけど・・・・・・。
そう思うと何故だかシャワーの音が・・・・・・。
もちろん聞こえてくるわけない。
聞こえてくるのはポチャンと水の雫が落ちる音だ
けだった。
お風呂から上がると朝食の準備に取り掛かる。
朝ご飯ば大事だ。
しっかりと食べて栄養を頭に行き渡らせないと。
朝食を作ったり食べたりしていると一時間が経過していた。
現在時刻午前六時三十分。
これから、七時まで勉強をする。
一時間しっかりと勉強をしたら、学校へ行く準備をして家を出る。
これが大体俺の朝のルーティン。
行きたい大学のために努力を惜しまない。
そのためだったら早起きもするし、夜遅くまで勉強だってする。
夢ってたぶんそうやって叶えるものだと思う。
制服に身を包み玄関の扉を開ける。
「おはよう」
するとそこには絶対にいるはずないと思っていた綾崎先生が立っていた。
☆☆☆
黄色のトップスに花柄のついた赤色のスカートでいかにも春らしい格好の綾崎先生が立っていた。
「綾崎先生・・・・・・」
「おはよう」
「お、おはようございます」
「いつもこの時間に学校に行ってるの?」
「そ、そうですね・・・・・・」
昨日といい、今日といい、この人は待ち伏せが好きなのだろうか。
「早いね」
「えっと、何か用ですか?」
「ん〜。一緒に学校行かない?」
「行きません」
「あはは、即答だね」
「当たり前です。教師と生徒が一緒に学校に行ったらどうなるかくらい分かりますよね?」
「そうだね。たしかに、ちょっとマズイね」
「ちょっとじゃなくて、かなりマズイです。なので一緒には行けません」
馴れ合うことはしない。
あくまでも教師と生徒。
そう線引きして、俺は綾崎先生に冷たい言葉を投げた。
多少申し訳ないという気持ちはあるが仕方がない。
「待ってもらって申し訳ないですけど、僕は先に行きますね」
「うん。私は少し時間を空けてから行くね。ごめんね。待ち伏せみたいなことして」
「いえ、こちらこそすみません」
俺は綾崎先生に頭を下げるとエレベーターへと向かった。
☆☆☆
七時三十分。
学校に到着するといつものように一番乗りだった。
誰もいない教室は静かで居心地がいい。
教室に一番乗りして何をするかというと、俺は机の中から文庫本を取り出して開いた。
静かで誰もいない教室は読書をするには最適だ。
誰からも邪魔されることもなく、読書に集中することができる。
しばらく読書に集中していると、教室の扉が開いて一人の女子生徒が入ってきた。
彼女の名前は
黒縁メガネとおさげが特徴的でそこに目が行きがちになるが、肌は透き通ったように白く、スタイルも他の女子生徒と比べると良く、隠れ美人といった感じの生徒。
歩く姿も上品で、さすがはお嬢様といった感じだ。
峰本さんとは去年も同じクラスで、彼女は去年もクラス委員をしていた。
一部男子生徒はそんな彼女の美しさに気がついており、隠れファンも多いという。そんな彼女は影では『聖女様』として崇められていた。
「おはようございます。木村さん」
「お、おはよう。峰本さん」
俺たちは互いに挨拶を交わし合った。
いつからだったか忘れたが(おそらく去年の冬あたり)、峰本さんとこうして朝の時間に会うことが多くなった。
規則正しい生活を送っているのか、峰本さんは決まって八時にやってくる。
そして、俺と挨拶を交わすと彼女も読書を始める。
峰本さんと交わす言葉は挨拶程度だ。お互いにどこか一線を引いているような感じの関係性。俺はそんな関係性が心地良かった。
同じ空間にいても気を遣わなくてもいいというのは楽なものである。
峰本さんが読書を始めたので、俺も読書に戻ることにした。
☆☆☆
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