星空

 あれから数か月が経ち、気候も少し楽になった。


 今日は満月で、久しぶりに晴れるというので、前に木葉留と話していた星を見ようという話になった。


 紫音はあれから足が元に戻ることはなかった。銃弾によって神経が切れてしまったようで、紫音の右足はもう動かないらしい。


 俺は紫音をおんぶして外に出た。



「璃杏、紫音、見て!」


 木葉留が空を指差してそう言った。


 空を見上げると、一面に星が散らばっていて、とても綺麗だった。


「うわぁ……」

「すげー」


 これが星空なのか……と思った。ここまで空を見上げる余裕なんてなかったし、まず空すらなかったりした。



「翠夏にも見せてあげたかったな……」


 木葉留がそう言った。


 紫音が言うには、木葉留は翠夏のことが好きだったらしい。俺は誰かを好きになったことないから、俺に木葉留の気持ちはわからない。


 好きって気持ちも、その人が死んじゃったってことも。


「木葉留、翠夏のこと好きだったでしょ」


 紫音がそう言った。


「は……? そんなこと……ないし……」


 木葉留は頬が赤くなっていた。


「えー?」

「もーっ!」


 木葉留は俺のことを叩き始めた。


「ちょ、ちょ、俺じゃないって……!」

「あははは」

「紫音も笑ってないでどうにかして!」

「この状態じゃ何もできないって」

「えぇ……」

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