第24話 大和先輩、東京藝大に合格ならず
2005年4月8日
桃園中央高校の芸術コース美術専攻で2年生となったその日、山田先生から第3期生の進学状況について報告があった。注目は大和先輩らの東京藝大入試の結果だ。一次試験は静物デッサン、5人の先輩のうちパスできたのは油画科受験の大和先輩と日本画受験の山藤先輩の2人。東京藝大美術学部の一次試験突破は武蔵野や多摩などの美大合格レベルじゃないとまず無理といわれている。この油画と日本画は最難関で、2つの専科を受験した人数は合わせて1000人以上。山田先生によると各専科で100~150人くらいが一次に合格するけど、二次に合格して入学できるのはこの内の2割くらいの険しく狭き門らしい。彫刻、デザイン、工芸の各専科も少し受験者が少ない程度で、結局は2次に進める人数は大差ない難関なのだ。
結果は残念、2人とも不合格。現役での藝大進学はならず、山藤里子先輩は多摩美術大学の日本画専攻へ合格しており進学。大和剛先輩は武蔵野美術大学の油画専攻に合格していたのだが、浪人を選択。1年後に東京藝大に再チャレンジするとのことで今月から美術進学予備校に毎日通い始めたとのことだった。
また、教育テレビからの番組制作企画への協力も決定し、麻矢たち美術専攻の2年生が2日間の野外製作ロケを行うことに決まった。放送が8月とのことで近日中に監修を担当する大学教授からテーマの発表があるという。
「きゃー、やったあ、テレビに出演できるんですね先生」と歓声をあげる麻衣子。
「28人でだけどね、テーマによっては3つか4つのグループ割りをする…」と説明している途中に「ロケの日に何を着てこようかな~楽しみ~」と麻衣子が調子に乗ると「こらこら、教育テレビだぞ、制服に決まってるよ。全国放送だからな、だらしない恰好はダメよ」と山田先生。「うっそ~、だっさ~」と思った麻衣子だったが、なんとか目立つように工夫しようと目論むのであった。
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