第31話

「そ……んな……」



突然世界が歪んで見えた。



あの日あたしと歩は石段から落ちた。



それが原因であたしと歩の心が入れ替わってしまったのだ。



そうなんだと、ずっと、思い込んでいた。



「嘘でしょう?」



自分の声がひどく震えている。



信じられなくて、それなら今まで一緒に悩んできたのはなんだったのかと、絶望が支配する。



「嘘じゃない。本当の事だ」



純はため息交じりにそう言った。



「で、話は戻るけど……お前中身はマホなんだよな?」



「う、うん」



あたしは頷いた。



「まずいぞ」



純はそう言い、突然立ち上がった。



「え、なに?」



「すぐに歩を探しに行こう」



「え?」



混乱するあたしの手を握りしめて、純はファミレスを出たのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る