第24話

車の音も風の音も純の声も聞こえなくなった。



歩が海を殺した。



歩は……人殺し?



雷があたしの心臓を貫くような衝撃だった。



あたしは無意識の内に石段を駆け上がりはじめていた。



下の方から純の声が聞こえる。



息が切れて、足が重たい。



それでもあたしは立ち止まらなかった。



今すぐ家に帰りたい。



歩は人殺しなんかじゃない。



それを証明するものを見つけ出したい。



その一心で、走ったのだった……。

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