第10話
「え……?」
あたしは歩を見つめる。
歩は真っ直ぐにあたしを見つめ返した。
嘘をついているようには見えない。
「本当に……?」
「本当だよ。入れ替わったのがマホでよかったって思ってる」
その言葉に胸の奥がジワリと熱くなるのを感じていた。
「あたしたちが付き合い始めると、リナが何をしてくるかわからないよ?」
「さっきも言っただろ? あいつに何をされても俺は平気だ」
歩はそう言い、あたしの手を握りしめて来た。
その手は緊張のせいで少し汗ばんでいる。
「じゃぁ……演技っていうのを無くしてくれれば、歩と付き合ってもいいよ」
あたしは歩から視線をそらして、おずおずとそう言った。
今まで歩の事を好きだと感じたことはない。
入れ替わってから意識し始めたのだ。
それでも、この気持ちは嘘ではないと、あたしは自分を信じて言った。
「もちろん、大歓迎だよ」
歩はそう言い、ニッコリとほほ笑んだのだった。
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