第2話

長いストレートの髪に、イチゴ柄のヘアピン。



そして白いブラウスに赤いネクタイ。



どこをそう見ても、それはあたし自分だったのだ。



ベッドの中の生徒はあたしと同様に混乱していて、マジマジとあたしを見ている。



「俺?」



そして、さっきあたしがやったのと同じように、あたしを指さしてそう言ったのだ。



そう言われた瞬間、あたしは弾かれたように鞄を開けた。



乱暴に中をあさり手鏡を取り出す。



そして自分の顔を確認すると……そこに写っていたのはクラスメートの庄司歩(ショウジ アユム)の姿だったのだ。



あたしは唖然として自分の顔を見つめる。



「ちょっと、俺にも見せて!」



歩はあたしの手から鏡を奪うと自分の姿を確認した。



そしてその姿があたしになっている事を見た瞬間に、青ざめた。



「なんだよ、これ……」



歩の声が震えている。



あたしも全く同じ気持ちだった。



なんなの、これ。



2人して呆然と立ち尽くす。



何か言わなきゃいけないんだろうけれど、なにも言葉にはできなかった。



ただお互いに、お互いをジッと見ているだけだ。



体と心がバラバラになっている。



漫画や小説で呼んだ事がある。



心が入れ替わってしまったっていう話。



だけど実際にそんな事が起こったなんて聞いたことはないし、解決方法だって知らない。



ただ……入れ替わってしまった理由だけはなんとなくわかっていた。



あの石段から一緒に落ちたのは、きっと歩だったんだ。

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