第2話
長いストレートの髪に、イチゴ柄のヘアピン。
そして白いブラウスに赤いネクタイ。
どこをそう見ても、それはあたし自分だったのだ。
ベッドの中の生徒はあたしと同様に混乱していて、マジマジとあたしを見ている。
「俺?」
そして、さっきあたしがやったのと同じように、あたしを指さしてそう言ったのだ。
そう言われた瞬間、あたしは弾かれたように鞄を開けた。
乱暴に中をあさり手鏡を取り出す。
そして自分の顔を確認すると……そこに写っていたのはクラスメートの庄司歩(ショウジ アユム)の姿だったのだ。
あたしは唖然として自分の顔を見つめる。
「ちょっと、俺にも見せて!」
歩はあたしの手から鏡を奪うと自分の姿を確認した。
そしてその姿があたしになっている事を見た瞬間に、青ざめた。
「なんだよ、これ……」
歩の声が震えている。
あたしも全く同じ気持ちだった。
なんなの、これ。
2人して呆然と立ち尽くす。
何か言わなきゃいけないんだろうけれど、なにも言葉にはできなかった。
ただお互いに、お互いをジッと見ているだけだ。
体と心がバラバラになっている。
漫画や小説で呼んだ事がある。
心が入れ替わってしまったっていう話。
だけど実際にそんな事が起こったなんて聞いたことはないし、解決方法だって知らない。
ただ……入れ替わってしまった理由だけはなんとなくわかっていた。
あの石段から一緒に落ちたのは、きっと歩だったんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます