第6話 表の顔と裏の顔。

「さて、どうしようか」


 一旦セイバーごっこは止めて本来の目的を進めないと流石に帰るに帰れない。


 問題となっていた真っ裸で遠足は取り敢えず回避出来たっぽいので、情報収集を始めよう。


 後、食料!これ大事。

 お腹すき過ぎると私、石になるっぽい。


 流石に石だと何も出来ない。

 何も出来ない=帰れない。

 それはマズイ。


 非常にマズイ。


 で、情報収集出来そうなのが取り敢えず1人。


 資源をパクっても問題無さそうなのが2人。


 うん。

 我ながら幸先良い感じじゃん?


 取り敢えず、資源の確保しとくか。


 徐に倒れて頭から血を流している奴らの空中に霧散し始めているソウルエネルギーをかき集める。


 良かった。この部屋密閉型の無風状態で。

 全部は無理だけど2人で1人分位はget出来そうだ。



「セット・アブソリュート・スタート」


 キンキンキンキンキンキン


 私の右手の五本の爪に光の束となったソウルエネルギーが吸収されて行く。


 シュルンと最後に吸込みが終了すると『作業が終了しました』とメッセージが流れる。



「うん。ご馳走様でした」



 さてと次は情報収集よね。



「ねぇ、貴方」



「…………」



「ねぇ?もしもし聞こえてる?」



「はっはい!!」


 突然再起動した機械の様に反応を示した子供に思わず笑ってしまう。


「ふふ、ねぇ貴方お名前は?ポーターで良いのかしら」


 ちょっとお姉さん面してみる事にした。

 その方が取り入りやすそうだ。


「いえ、ポーターは役職名で、その名前は……ありません。何時もポーターで呼ばれていたので」


「あら、そうなのね」


 両手を胸の前で軽く合わせてニッコリ微笑む。


「ならどう呼んだら良いかしら」


 少し困った様な顔で悩む素振りをしつつ相手に譲歩したかのように思わせつつも優位性と主導権を握る。


「ええと、呼び安いもので構いません」


「あら、そお?」


 若干考えた振りをしつつバインドコードを差し込む。


「ならそうねぇ〜。ロイヤルティー(忠誠)。これから貴方の事はルティーと呼ぶわね」


ルティーと呼ばれた瞬間に少年の目の色が変わる。

言霊に縛られた証拠だ。



「ありがとうございます。お嬢様」


「よろしくね。では早速ルティーにお願いがあるの。いいかしら?」


「何でもご用命下さい。お嬢様」


「あの者達から必要な物を物色してね。それと早くここから出たいわね」


「かしこまりました。早急に支度致します」


「それと、貴方の格好酷いわよ。その者達の服でいいから着替えなさい」


「有り難きお言葉。感謝いたします」


「早くしてね?」


「はい。直ちに」


 そして、追い剥ぎ売れる物を1つ残さずにgetした様なので最後に死体の始末をする。


「セット・リサイクルコンデション・スタート」


 死体が光の粒子に返還されてその場には綺麗な大理石の床だけが残った。


「それじゃあ行きましょうか」


「かしこまりました」


 後ろにずっと控えていたルティーは何事も無かったように私の後に付き従い付いてくる。


「では、残りの物も回収しちゃいましょ?良いわよね?」


「勿論でごさいます」


 さて、更なる資金を調達しましょうかね。

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