23 私の気持ち
「さて、あなたの母親がスパイであることはわかったと思いますが、あなたはどうしますか?」
ルルア様が第一王子に問いかけます。
ルルア様、厳しいですね。こうなれば選択肢なんてあるようでないようなものじゃないですか。母親が浮気相手の子供というだけでなく、スパイとの子供であるということが知られてしまえば、問題になることは明らかですからね。この国を思うのであれば、自ら死を選びます。少なくとも私ならそうします。
「…俺は何を間違ったんだ…」
「あなたに両親の罪を負えとは言いません。ですが、あなたは王族として、何もしなかった。勉強も武術も、そして、王族としての役目も」
「王族としての…役目……そうだ!」
さっきまで何やら考え込んでいた第一王子が、急に大声をあげる。なんでしょう、とてつもなく嫌な予感が……
「ソフィア!ソフィアは俺のことが好きなんだよな!今までずっと俺のことを思って言ってくれていたんだろう?なっ、だから、俺と婚約し直してくれ!」
えーと、嘘ですよね。今まで散々私の話を聞かなかったり、私を悪役に仕立てようとしていたのに……
アメリア、刃を向けるのはやめなさい。クリス様も剣を抜かないでください!
お兄様とお父様は、なんで二人とも剣を持っているのですか!もう、みんな落ち着いて…ヒッ
さっきまで誰もいなかったのに、どうして第一王子の後ろに侍女や執事が並んでいるのですか!それも手にナイフを持っていますし!
私が必死に首を振っていると、帰ってくれたのですが、まだ面倒な問題が残っていました。
「どうしてだ!何も言わないということは、クリスに脅されているのか!」
別にあなたに首を振ったわけではありませんし、そうだとしても、どうしてあなたが嫌われているという発想はないのでしょうか?
「ソフィ「…うるさいです」えっ」
「うるさいと言ったのです。私があなたのことを好きであったことなんて一度もありません!私が好きなのは今も昔もクリス様ただ一人です!断じてあなたなんかではありません!」
「なっ」
「大体私があなたを好きになる理由とはなんでしょうか?見た目?それならクリス様の方が良いですよね?強さ?私に負けるあなたが?私の話を何も聞かなかったのに、今更言い寄られても迷惑です」
「今までのことは謝る!だから…」
だからなんだというのでしょう。この人のために、また私は自分を犠牲にしないといけないのでしょうか?
もう嫌です。私はクリス様とこれからも一緒にいたいのです。
「だから?だからなんなんですか!また私に我慢しろと?自分は好き勝手に生きて、私に我慢し続けろと?これは私があなたに言い続けていたことを、聞いてこなかった結果でしょう?」
「それは…」
「あなたが有能であるのならば、この国から無くすのが惜しい人材ならば、もう少し結果は変わっていたはずです。ですが、今、あなた自身の価値はなく、あなたの存在はただ迷惑なだけです」
「俺だって…」
「こんなことになるなんてわかっていたら努力していたですか?ですが、王となろう者が他の人より努力するのは当たり前なんですよ。それをしてこなかったのはあなた自身じゃないですか」
私の言葉に言い返せないのか、彼は何も返事をすることはなくなった。彼には言いませんが、この国を選べば護衛はつくでしょう。彼の知らないところで守ってはもらえるはずです。ですが、国外を選ぶのであれば、ルルア様はもう関わることはやめるでしょう。
少なくとも今まで母と呼ばせていたのです。彼が幼少の頃から無視することもできたはずなのに…
あとは彼の意思次第でしょうか…
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