第一王子視点
クソッ、もうすぐ学園を卒業だというのに、まだあいつの嫌がらせの証拠を掴むことができない。いや、証拠はあるのだが、あいつが認めないせいで、父上にも認めてもらっていない。それになんだ、あの影という奴は!俺は聞いたことがないぞ!俺は王族なのになぜ俺は知らされてなくて、あいつが知っているんだ!
クソッ、思い出しただけで腹が立つ。早くしないと、王太子にクリスがなってしまう。それだけはなんとしてでも阻止しなれば。この俺が惨めになってしまう。
「殿下〜、大丈夫ですか〜」
「おお、メアリー、俺を心配してくれるのはお前だけだよ」
一刻も早く、この心優しいメアリーをみんなに認めさせなければ。このことを知れば、皆があんな冷酷な女よりも、メアリーの方が王妃に相応しいことを理解するだろう。
「殿下〜?」
「ああ、なんでもない。それで、今日はどうしたんだい?」
「あ!そうです〜。殿下〜聞いてください〜。昨日、ソフィア様たちが〜学園で〜お茶会をしていたそうなんですよ〜。それに〜私、誘われてなくて〜」
「なっ、それは本当か!」
「はい〜」
こんなに可愛らしいメアリーを誘わないとは、やはり嫌がらせを受けて、可哀想に。
「待っていろ、メアリー。もうすぐ、俺があの女の嫌がらせを受けないようにしてやるからな!」
「…わ〜い、ありがとうございます!殿下〜」
メアリーに不自由させないためにも、誰にも文句を言わせない証拠を見つけ、父上に認めさせなければ!だが、今はそれよりも、メアリーに俺の気持ちをちゃんと伝えないとな。
「そ、それよりもメ、メアリー、今日のほ、放課後は暇か」
「今日ですか〜?用事は、ありませんよ〜?」
「コホン、それなら、市街地に一緒に行かないか?美味しいお菓子があるところを聞いたんだ」
「…はい!いいですよ〜。私、甘いお菓子、大好きなんですよ〜」
メアリーは少し悩んだ素振りをするものの、行ってくれるらしい。けれど、彼女は俺ではなく、俺の背後を見ていたような気がしたが、振り返っても誰もいない。やっぱり俺の気のせいみたいだ。
それよりも、ここでかっこいい姿を見せて、メアリーに俺の気持ちを伝える。そして、ソフィアをこの国から最低でも追い出すことと、メアリーを王妃にしたいと考えていることを伝えないとな。
ふふ、メアリーが喜ぶのが目に見える。今日はいい日になりそうだ。
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