13 家に帰って

「ソフィア様、本日はありがとうございました」

「こちらこそ、誘っていただいてありがとうございます。今日はとても楽しかったです」

「ソフィア様にそう言っていただけて嬉しいですわ」

「「ソフィア様!」」

「ええ、分かっていますわ」


 今日、会ったことはすぐに父上に話さないといけませんね。


 そう思っていたのですけれど…


「フィー、おかえり。ポブレ子爵のことは心配いらないよ。こちらで手を打っているから。フィーは気にすることなく過ごせばいいよ」


 帰ってきて早々、お父様から声をかけられます。えーと…、とりあえず、お父様はどうして私が相談されたことを知っているのでしょうか?

 いいえ、理由はわかりますよ。どうせ、私についていた影の方がお父様に報告したのでしょう。それはいいのです。いいえ、あまり良くはないのですけれど…

 私だってレディですからね!乙女の秘密を聞かれるのは恥ずかしいのですが!


 それよりも問題なのは、お父様がもう手を打ってあることです。どうして今日聞いてきた問題に手が打たれているのでしょうか。ポブレ子爵家の当主が直々にお父様に相談しているなら、彼女たちは私に相談しないはずです。なので、お父様は聞いているはずがないのですが…


「どうしたんだい、フィー?」

「お父様は、ポブレ子爵から話を聞いていたのですか?」

「いいや、聞いていないよ。何か言いたそうな顔をしていたが、何も聞いてはいない」

「では、どうして…」


 聞いても無駄だとは知ってはいますけど、やっぱり笑顔で頭を撫でられるだけです。ええ、私は蚊帳の外ですか、そうですか。私が初めに相談されたんですが!


 もういいです。お父様が何も言わないということは、この国にとっての問題か、私に関わる問題と言うことでしょう。どちらにせよ、ブルーム男爵が関わっているのは確かだからこそ、私に何も言わないのでしょう。ならば、もう私は何も言いません。

 このことに関してだけは!ですが。


「お母様!お父様が意地悪するので、今日はお母様の部屋で寝ます!」

「あらあら、お父様は意地悪ね。ええ、今日は二人で寝ましょう」

「ま、待て、フィー。考え直そう」

「いいえ、もう決めました」


 本来、一人で寝るのですけどね。最近は特にお母様が許してくれません。なにかと理由をつけても、小さかった頃にできなかった分、今だけでも一緒にいたいのですと言われてしまえば、私は何も言えません。小さい頃に寂しかったのは本当ですけれど、今は少し恥ずかしさがあります。もう慣れましたが…


「さあ、旦那様はほっといて、夕食ができるまで私の部屋に行きましょう?」

「はい、お母様」


 まだ、ぶつぶつ言っているお父様は放っていていいでしょう。心配はありません。お父様が手を打っているのです。問題は時期に解決するでしょう。だって、私のお父様ですから。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る