12 お茶会

 お茶会が始まる前に泣いてしまいましたが、その後は何事もなくお茶会が始まり、みんなで楽しく過ごしていました。

 そんな中、ふと気になることがあったので、皆様に尋ねることにしました。


「あの、皆様は悪役令嬢というものが、どういったものなのか、ご存知でしょうか?」

「ソフィア様は悪役令嬢と呼ばれるような方ではありません!あの時のことを気になされる必要はありません!」

「それは気にしていないのですが…、単純に悪役令嬢とはどのような方なのか気になってしまって…」

「そうですか…、そうですね、物語などで言われている悪役令嬢は主人公の女の子に対し、嫌がらせをするのです」

「嫌がらせ…ですか?」

「はい。廊下ですれ違った時に押し倒したり、無視をしたり、階段から落としたり、持ち物を壊したりなどです」

「…高位貴族が?」

「高位貴族が、です」

「そうなの…」


 えーと…、私はそのような嫌がらせをしていると思われていたのでしょうか。えっ、なんのために階段から落とすのでしょうか?殺したいのであれば暗殺者を雇えばすぐに済む話ですし、私の場合は侍女に聞かれた瞬間、彼女はいなくなってしまいます。あれ、私の方が、悪役令嬢よりも悪役みたいじゃないですか…

 これはもっと言動に気をつけないと…


「ソ、ソフィア様!少し相談があるのですが…」

「ララ、ダメだって」

「リリは黙ってて!ソフィア様、お願いします!」

「ええ、いいですよ」


 彼女たちは、ポブレ子爵の双子たちのララーナ様とリリーア様です。ですが、彼女たちの家に何か問題があったという知らせは聞いたことがないのですが…


「突然申し訳ありません。このような楽しい場所で言うことではないとは思っていたのですが、その…彼女がブルーム男爵に養子になる少し前から、我が領地で薬物が流れてきているのです。証拠もありませんし、たまたまかもしれませんが…」


 彼女たちの様子から、少し会場から離れたところで彼女たちの話を聞いたのですが、離れて正解でしたね。ですが薬物ですか、厄介ですね…

 薬物を止めることは難しいです。一人一人、街に来る人の荷物を確かめるわけにもいきませんし…

 それがどのような形状かさえもわかりません。

 

「このことを知っているのは?」

「私たちの家では話題にはなっています。ですが、相談したのはソフィア様が初めてです」

「そうですか、私からもお父様に話しておきます。それが解決につながるかどうかはわからないのですが…」

「いえ、それだけで十分です。ありがとうございます」


 私にできることはお父様に話すことしかできません。少しでもいい方に向かえばいいのですが…


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