8 深まる疑問

「その方たちは影の方達ですよ。殿下」

「影だと。やっぱりお前の差し金か。この卑怯者!」 


 影の存在を知らない?王族が?そんなことはありえない。影の存在は王族なら絶対に知っておくべきことだ。実際に私が殿下と婚約を結んでからはすぐに影がいることは教えられている。


「ソフィア様、第一王子は一度我々のことをお話しさせていただいたのですが、ご理解なさらず、忘れ去られています」

「ニア、ここは公です。殿下とちゃんと呼びなさい」

「申し訳ありません」

「しかし、そうでしたか…」


 殿下が影の存在を知らないとなると、この場の収集をどうしましょうか。


「ソフィア様、この場は私に任せてもらえませんか」

「ローア…わかりました。お願いします」

「仰せのままに…」

「?」

「ニアに聞いて、もしかしてと思っていましたが、私の名前もわかるのですね」

「いつも、王城の庭を綺麗にしていただいてありがとうございます。あの花壇でのお茶会は、場所だけは好きでしたのよ」

「そう言っていただけるのならば、頑張った甲斐がありますね」


 いつも一人きりだったお茶会。でも場所は王城の庭ということもあり、とても綺麗な花を見ながらお茶を飲むことができていたのが救いだった。あれが部屋だったら、もっと辟易していたことだろう。懐かしい。

 あれ?庭でお茶会…どこかで、見たような…


「王城の庭だと!訳の分からないことを。こんな奴ら見たことがないぞ!」

「では、殿下は私が連れて行きましょう。では失礼します」

「お、おい離せ!」


 ローアはまるで大きな荷物のように、雑に第一王子を肩に担ぎ上げ、校門から出て行きました。あれではただの晒し者になるのでは…

 こほんっ、第一王子はローアが連れ帰ってくれたので、後の処理は私がしましょうか。


「さて、殿下はお城に帰りました。それで、ペーロ伯爵子息様、ファイサン侯爵子息様、モーノ伯爵子息様、あなた方は私に何か用事があるのですか?」

「い、いえ」

「な、なんでもありません」

「し、失礼します」


 殿下がいなくなったら、蜘蛛の子を散らすように逃げていきます。彼らも自分で考え、行動できる力があればもっと変わっていたのかもしれませんのに。第一王子に唆されたのか。それとも元からなのかはわかりませんが、彼らも弟の方が優秀だというお話は聞くので、全員長男でしたが、当主になることはもうないのではないでしょうか。少なくともお兄様が当主になった時に彼らのままだと家ごとなくなりそうで怖いですね。


 それにしても当事者である、メアリ様がここにいらっしゃらないのですが、もしかして、メアリ様も第一王子に巻き込まれているだけで、関係ないのでしょうか?

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