9 昔の記憶?
さて、殿下と三馬鹿の処理が終わったところで、やっと一息つくことができます。こちらを注目していた学生たちも離れていき、いつも通りの学園生活が戻ってきたような感じがします。
「災難でしたわね。ソフィア様」
「メアリ様も大丈夫でしたか?」
「はい!私は大丈夫です。ですが、正直あの方が王族であることが心配なのですが…、もしあの方がこの国の王になるとなると…」
「その心配はないでしょう。第二王子殿下であるクリス様はとても優秀でいらっしゃいます。陛下も王妃様も選択を間違えるということはないでしょう」
王族は貴族以上に重い責任を負わされる存在です。どんな時であれ、自分の何気ない言葉、態度、持っている情報など、それが相手にどのように受け取られるかまでを気をつけないといけません。王族となればそれがなおさら顕著になります。
それを第一王子は貴族並みにですらできていません。それではダメなのです。そのような方が王になればこの国が崩壊してしまいます。それを小さい頃から注意していたのですけれど…
「そんなことは分かっている!俺に口を出すな!」
「できていないから、こうして私が口を出しているのです。いい加減、お認めになってください」
「うるさい!うるさい!お前に王族の何がわかるというのだ!もういい!」
このように、一切話を聞いてくれませんでした。いったい何歳の会話だと思いますか?15歳の時の会話ですよ。以前はちゃんと話を聞いてくれたのに…
「フィーア姉様!僕、もっとがんばりますね!」
昔は姉のように慕って…あれ?
慕って?私の話を聞いてくれたことがあった?誰が?あの第一王子が?そんなことはありません。あの方は昔から私の話だけでなく、家庭教師の方々の話も聞いてはおられませんでした。では誰が?
「ソ…様、ソフィア様、大丈夫ですか?」
「あ、ええ、大丈夫ですよ、どうかしましたか?」
「そろそろ授業が始まるので、お呼びしたのですが…、何か考え事ですか?」
「…いいえ、大丈夫ですよ。しかし、もうそんな時間でしたか。では参りましょうか。メアリー様」
「はい!」
まだ授業も聞いていないのに、今日一日分疲れてしまいました。もう第一王子とは関わりたくはないのですが、そういうわけにはいかないでしょうね…はぁ。
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