????視点
私は普通の一家よりも貧乏に生まれた。だから、すぐに孤児院に捨てられた。その孤児院も貧乏だったが、シスターはとても優しかった。
いつも、残り物の野菜などをもらってきてくれて、私たちを食べさせてくれた。
少し大きくなっきたころ、孤児院の屋根の上で道路を見ていると、私と同じくらいの綺麗なドレスに身を包んだ女の子と、黒い服に白の服を重ねたような服を着ている女性が一緒にいた。
普通なら近づかない。あんなに綺麗な服を着ているのは貴族に違いないから。貴族は嫌いだ。この孤児院が貧乏なのも、貴族が寄付金を横領しているからだ。
それなのに…
どうして近づいたのかな。それは私にもわからない。だけど、いつになってもその行動を後悔することはないだろう。それだけ、私の人生の起点になった。
「どうかしたの?」
太陽の光によってより一層キラキラしている金色の髪に、透き通った空のような青色の目。私とは別世界の人間だ。
ぐう
お腹の音が鳴り、顔が真っ赤に染まるのがわかる。恥ずかしい。
「あなたは一人?」
私は首を振る。一人と言えば、ご飯をくれたのだろうか?だけど、私一人が贅沢をするわけにはいかない。
「そっか、場所はわかる?」
「わかる…ります」
「ふふ、じゃあ私を案内して」
彼女はそう言って、少し汚い私に手を差し伸ばす。私は手を取っていいのかわからず、彼女と一緒にいた人を見ると、うなずいていた。
だから、私は彼女を連れて孤児院に連れて行った。
その後のことは忘れられない。彼女の両親が次の日にやってきて、孤児院は変わった。ご飯に困らないようになった。
そして、私の目標も決まった。私は彼女の後ろにいた黒い服に白の服を重ねたような服を着ていた人のようになりたい。彼女の行動を誇らしそうに側で見ていた人になりたい。
そのために彼女を追いかけて、あの服を着ている人がどういう仕事をしているのかを遠くから観察するようにした。
けど、その生活は長くは続かなかった。
「動くな」
首元に刃物が突き付けられる。貴族の家を覗いていたんだ。仕方ない。
「何をしていた」
「あの人に近づきたくて…、それで、あの黒と白の服を着ている人のことを知りたかったから…見ていました」
「侍女か?それはどうして」
「私はあの人に助けられました。なので、その恩返しがしたいと思っています。そのために、侍女?になり、彼女の側にいたい…です」
「嘘は言ってなさそうだな。お前、歳は?」
「5歳…です」
「ふむ。ソフィア様と同じ歳か。いいでしょう。侍女の仕事は私が教えてあげます。けれど、住み込みです。それにとてもきつい仕事もあります。それでもいいですか?」
「はい!」
孤児院のみんなと会えなくなるのは少し寂しいけれど、彼女の側にいられるようになるのかもしれないのならどんな辛いことだってやり遂げられる。そう思える。
この出会いが私の運命を変えた。
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