第一王子視点

「くそッ、どうして俺があいつの尻拭いをせねばならないのだ!」

「本当です。僕たちに迷惑をかけるとは」

「私たちに本当のことを言われて傷ついたのかは知りませんが、マリアに嫌がらせをしていたのです。もっと反省していただかなければ」

「それでも、僕たちに迷惑をかけるのは別問題だけどね」


 ソフィアが学園を休むせいで、あいつの仕事だった生徒会の仕事が俺たちに回ってくるようになった。そのせいでこの数日、マリアと十分に話していない。それに、どうして俺がこんな雑用のようなことをしなければならないのだ。


「殿下、何か不服があるのですか?」

「当たり前だ!どうして俺がこんなことをしなければならないのだ!」

「どうしてとおっしゃられても、皆様はこの学園でどのような役職についていらっしゃるのですか?」

「何を当たり前のことを聞いている?俺が生徒会長に決まっているだろう」

「ええ、なら生徒会の仕事はあなた様の仕事じゃありませんか」

「何を言っている。仕事はいつもソフィアがやっていただろう」

「ソフィア様は生徒会ではありませんので、本来なら仕事をしないはずなんですけどね。あなた様が次期生徒会長であった彼女から役職を奪いましたから」

「私よりもあいつの方が向いていたというのか!」

「実際仕事をしていなかったじゃないですか。ソフィア様はこれの倍以上をしていましたよ」


 こいつもそうだ。学園長のくせに、俺にではなく、ソフィアに権力を与えようとしている。あいつが権力を持ったらどうなるかも知らないで、好き勝手言いやがって。

 みながソフィア、ソフィアと王子である俺ではなく、あいつのことを話す。気に食わない。早いところあいつの嫌がらせの証拠を見つけて、マリアと幸せに暮らすんだ。


「でんか〜、助けてください〜」

「どうした!マリア!」

「ソフィア様が〜、私の家に圧力をかけてきたんです〜」

「圧力だと!」

「はい〜、いつもものを買っていた商会の人が〜、私の家と取引した商会とは2度と取引しないって言ったようで〜私何も買えなくなってしまったんです〜」

「なっ、あいつそんな姑息な真似を。だが、喜べマリア!これであいつがマリアに嫌がらせを行なっていた証拠が見つかったぞ!」

「…わ〜い、これで私たちは一緒になれるんですね〜」

「ああ、もちろんだ!」


 ばかなやつめ。焦ったのかは知らんが、わかりやすい尻尾を出しやがった。これでお前の目論見は終わりだ。俺は王になる。そして、未来の王妃に嫌がらせをしたんだ。相応の罪があることを覚えておけよ、ソフィア。


 目の前で、あのしれっとした顔を歪ませてやる。

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