6 夢?現実?

 なぜか用意されているお茶会。人数はいつも私を含めた二人分が用意されている。けれども、そこにいるのは私一人だけ。それがずっと続いていた。

 だけど、いつからかそこには自分よりも少し年下の少年がくるようになり、楽しそうに話している私がいる。けれども、彼の顔をよく見ることはできません。


「…僕が…になった時には僕の隣で、……ませんか?」

「?ええ、わかりました。…。そうなる時を楽しみにしていますね」


 少年はこちらを見て笑うだけ。そこまでしか覚えていない。彼が何を言っていたのか、彼の名前も聞き取ることができない。私は一体何を楽しみにしていたんだろうか?


「フィー、おはよう」

「おはようございます。お母様」


 今日で学園を休み始めてから三日が経ちました。その間ずっと私はお母様と一緒に寝ています。なので、もう隣にお母様がいることには慣れてしまいました。朝の侍女たちの温かい目も…

 それにしても、最近よく見るあの夢はなんなのでしょうか?私の妄想なのか。現実にあったことなのか。それさえもわからない。


「どうしたの。フィー?もしかしてまた同じ夢を見たの?」

「はい。最近よく見る同じ夢です」

「お茶会ね…。まさか…」

「お母様、何か思い当たることでも?」

「いいえ、なんでもないわ。フィーが望むならそのお相手でもいいけど、思い出せないのなら今からでもフィーの好きな人を見つけたらいいと思うわ」


 お母様には心当たりがあるのでしょう。けれど、あの顔は絶対に聞いても教えてくださらないので諦めるしかありません。もう少しで思い出せそうなのですけれど…


「それで、今日は何をするの?」

「えっ、えーと、何をしましょうか?」


 実際、第一王子にムカついて困らせたかったので、1週間ぐらい休んでやろうと考えていたのですが、いざやってみると何もすることがありません。二日までは授業の復習をしていたのですが、もう終わってしまいましたし…どうしましょうか?


「あら、今日は勉強はいいの?」

「ええ、昨日までに大体終わってしまいましたから」

「それなら、一緒に刺繍でもしましょうか」

「はい!お母様と一緒にできるのは久しぶりです」

「そうね。それじゃあ、必要なものを準備しましょうか」

「はい!」


 どうしましょう。お母様と一緒に刺繍ができることは楽しみなのですが、言動が段々幼児化しているような気がします。気のせい…ですよね。そうです。きっと気のせいです。私は立派なレディなのですから。

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