第108話 「旅立ち」

「じゃあ、元気でね!」


 私達は藷所野しょじょので集まった後、うるわしきエルフの都にノースランド国、サンドランド国と妖精の国を見て回りました。

 ドワーフ族やエルフ族の皆さんも大陸を自由に移動して、好きな場所好きな街で暮らすようになりました。

 そして、ベニさんはエルフの都に、シズさんは妖精の国へと行く事になり、ハナちゃんも大陸に広がるオーガ族の里をボンさん達と回る事になったのです。


 私はドワーフ族の皆さんに話を聞いて、有る事を決心していたのです。

 それはセイホーウ国の西の果てに有る港から、船に乗って別の大陸へと旅をする事でした。

 ドワーフ族の皆さんは、壁の中に引き籠っている間に外洋に出られる程の大きな船を制作していたのです。


 キコさんに相談すると「街と仕事は任せておいて!」と言って、喜んで送り出してくれました。

 サキさんは黒衣騎士団の団長の奥様なので、王都に戻るかと思っていましたが、黒衣騎士団は藷所野の場所が理想的だという事で、藷所野を駐屯地にしてしまったのです。

 ある意味、これで藷所野の街は何が有っても安全だといえます。皆安心して旅に出る事が出来ます。


 藷所野ファミリアの事は、新たなメンバー達で十分に運営出来るようになりました。

 シャルお婆さんと作成した、誰でも治癒ちゆが出来るようになる籠手の量産も始まりました。

 シャルお婆さんと二人目の育児で忙しいミントさんは、旅立ちに合わせて、またラッキーチャームを作って下さいました。とても心強いです。


「皆元気でね! 旅が終わったら、きっと皆の所に遊びに行くね!」


 五人で抱き合ってお別れです。

 何かの縁で集まったポンコツ五人組は、何よりも大切な仲間になりました。

 そして、皆それぞれの人生を歩み始めたのです。


 ――――


 青い空の下、何処までも広がる平原を、爺やが手綱たづなを握る荷馬車が西へと向かっています。

 私の横には愛するポコが居て、その反対側には何故か私を見つめるルコラさんが座っています。

 私とルコラさんが、その後どうなったのかはナイショです……。



【 置き去りにされて追放されたけど奴隷から解放された上に超一流のクラフト士になってクソ令嬢達を見返してやったのです 】



 END

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