第24話 「オレリル鋼」
いよいよ、私達は鉱石の採れる最深部へ到達しました。
でも、これからが大変なのです。
何故「オレリル鋼」が世界でも希少と言われる鉱石なのか。
それは、「オレリル鋼」が生成される過程と、採取できる場所が特殊だからなのです。
溶岩から生まれ、岩を主食としているモンスターがいます。「ロックイーター」や「ロックバイター」という名前などで呼ばれていて、岩ばかり食べていると思われていますが、実はこのモンスターの好物は水晶なのです。
一生を掛けて食べる水晶の中に微量のオレリル鋼が含まれていて、これが体内に砂粒にも満たない量が蓄積されるそうです。
「ロックイーター」達はその生涯を終える時に、生まれた溶岩のある場所へと戻り、そこに身を沈めて消えて行くそうです。
そして、微量のオレリル鋼は溶岩の底へと落ちて行き、そこに少しづつ
つまり、数千年、数万年の時を掛けて、
普通に採取しようと思うと、地殻変動で地表付近に出て来たオレリル鋼の層を発見するか、溶岩の底に採取しに行くしかないのです。
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先ずは、シズさんの出番です。
精霊達にお願いして、付近のオレリル鋼の鉱石層を探して貰いながら、火の精霊達に溶岩に潜って貰い、オレリル鋼が溜まっている場所を探します。
鉱石層が見つかると次はベニさんの出番。
鉱石層の周りを風水師の力で掘り返し、鉱石層を次々と集めて来ます。
そして、溶岩の底に鉱石が溜まっている場所が分かると、その周辺を溶岩ごと浮上させ、シズさんが冷気で溶岩を冷やし、固まった所でベニさんが採取します。
ボンさんとガイさんが、恐ろしいモンスターでも見るかの様にこちらをを見ていました。
しばらく採取を続けていると、十分な量のオレリル鋼を集める事が出来ました。
溶岩や近くの地形を元に戻し、鉱石の純度を高める為にこの場で精製します。
シズさんとベニさんの協力で、熱を加えながら精製をしていると、余分な岩石や不純物は
実は長老から教えて貰っていましたが、やはりどんなに熱を加えてもダメでした。
私は長老から話を聞きながら、ある事を考えていました。
オレリル鋼は熱で不純物を取り去った後は「クラフト」でしか加工出来ないのではないかと。
しかも、普通の道具を使った「クラフト」では、加工は不可能だと思っていました。オレリル鋼を「クラフト」できるのは、オレリル鋼で出来た
そして、恐らく私はオレリル鋼で出来た鎚を持っています。
そう「アマツマラの鎚」です。
粒状で固まらないオレリル鋼を、アマツマラの鎚で軽く叩き「クラフト」します。
予想通りオレリル鋼は塊になって行きました。
塊を左手で触り『解析』を行います。やはり、アマツマラの鎚と同じ物質である事が分かりました。
しばらく「クラフト」していると、かなり大きな塊にする事が出来ました。装備を作るには十分な量です。
見た目は巨大なボンさんでも持ち切れないと思う程の重量がありそうですが、実際は浮いてしまいそうなぐらい軽いのです。
屈強なモンスターが出没する危険な場所には長居は無用です。
私達はオーガの里へと向けて、来た道を戻り始めました。
ボンさんとガイさんは、来た時と同じように私達を前後に挟み守ってくれています。本当に頼もしくて優しいいオーガ達。
いよいよ、オレリル鋼を使った武器や装備の作成が始まります。
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(余談)
いつも読んで頂きありがとうございます。
【オレリル鋼】について
実は勝手に思いついた造語の鉱石です^^
イメージでは、
・非常に軽くてとても硬い
・採取と加工が非常に難しい
・表面が七色に光る
・秘めた能力を
そんな希少金属と言った感じです。
剣や武器等に使える良さげな素材が欲しいなぁと思っていた時に、オリハルコンは何だか汎用され過ぎていますし、ミスリルはどうやら著作権が絡むそうなので、適当に思いついた雰囲気で作りました。
後付けで翻訳しながら文字を当てて見たら、「オレ……ore」が鉱石という意味だったので、これは美味しい!と思い、「リル」と聴こえそうな単語を探しました。
結果「リアル…… real」が「本物」という意味と、聞きようによっては「リル」に聞こえない事も無いので、合わせて「ore real……オレリル」で「本物の鉱石」って意味の造語が出来上がりました。
いい感じです^^
他の方の作品の中でとか使って貰えると嬉しかも。
「使ったよー」とか教えて貰ったら、もっと嬉しいです^^
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