星落とし


 どうやら新しい武器を備えて来たらしい。

 そのことを理解した荒垣シェパードは、自身のサイコアーマーを過信することをやめた。敵の装備を分析する。

 

(あのオーラはサイコキネシスと似た性質をそなえている。特にサイコアーマーに近く、気体の性質を持っていながら、金属のように硬質だ。そして、あの剣……冷たく、鋭利……あの剣はサイコアーマーに虚弱性を付与するようだね)


「流石は天才・伊介天成。液体窒素とマナニウムのお話を実践にひっぱってくるとは」

「?(このじじい何を言ってるんだろう)」


 荒垣はヒーリングを腕に集中させて、再生させようとする。

 それを許すアンナではない。


「そうせかすな」

「っ」


 サイコキネシスの面掃射が、通路を覆い尽くして壁となった。

 触れることさえゆるされない堅牢な壁だ。

 

(これやられたら無限に再生の隙をあたえることになるよね……無闇につっこんでもサイコキネシスに捕まるし……)


「わかった」

「いい子だ。わっちが回復するまで待ちたまえ」

「ぶち抜く」

「は?」


 アンナの肌に血管が浮き上がる。

 内側から皮膚がさけ、鮮血があふれだす。

 血が剣を覆い、たっぷりと移動すれば準備は完了だ。

 剣を引き絞り、爛々と輝く赤瞳をキリっと鋭くした。

 

 ──エースカロリ流練血秘式・星落とし

 

 放たれるカトレアの剣。

 冷気をまとった血が、槍となって、高速で撃ちだされた。


「ばッ?! なんだ、それは──

 

 夜空の星を穿った絶槍は、念動力の厚壁を貫通した。

 その奥で切断された腕を再生させる荒垣には、避ける間もない。

 超能力者の脳天に命中、内容物を勢いよくぶちまけた。


 

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