13:天を裂く者
走りながらエルグランドの目に向けて『
「小賢しい!」
だがそれは片脚で振り払われる、それを見越して身体強化を足に集中させて速度を上げ懐に潜り込もうとする。
その瞬間尻尾が真横から振り払われる。
咄嗟に剣を盾にして『
「我が尾を受けて無事なだけでなく鱗すら傷つけるか、強がりばかりではないらしい…」
尻尾を一振りするとその叩きつけた箇所に傷が走っているのを確認し、こちらを睨みつけると魔力を口に集約させていく。
レイルは足に魔力を集中させると影を置き去りにする勢いで走り出す。
直前までレイルがいた場所を極光が通り過ぎる、極光は地面に転がる残骸を巻き上げながら壁へと消えていく。
通った箇所はそこになにもなかったかの如く剥き出しの地面が現れていた。
(同じブレスでもここまで差があるのか!?)
レイルは背を冷たいものが走るのを感じながらエルグランドに再び接近する。
彫像の様な前脚が振り下ろされる、その直前に目に魔力を集中させて動きを見切り、ギリギリで流れる様に回避してすれ違った瞬間『
「ぬうっ!?」
前脚が半ばまで斬られて驚愕する隙をついてもう一撃振るおうとするが斬られた前脚で横薙ぎを放たれ、やむを得ず自ら跳んで受け流すと再び口に魔力が集約されていく。
(跳んだ瞬間を狙ってきたか、だが!)
『
そのまま胴体を斬りつけようとするが翼が羽ばたき、突風が起こってレイルを吹き飛ばす。
「くぅっ!?」
空中で身を翻して着地するとエルグランドの顔が再びこちらを向く。
「やってくれる!」
どこか喜色を含んだ声で叫ぶとその周囲に雷が踊る、それは激しさを増し、雷に全身を包まれていく姿は雷雲の様だ。
「我が鱗を裂いた貴様に敬意を示そう!“天の神々よ恐れるがいい、天の支配を脅かす我が存在に”」
それは詠唱であり宣告だった、かつて天を己のものとしていた存在の。
「“眼光は雷光、咆哮は雷鳴、我は天を裂く霹靂の具現、すなわち―”」
「“
告げられたのは魔術の名、それと同時に閃光が空間を駆け抜け、治まるとその全容が姿を現す。
それは雷雲だった、天井全てを覆い尽くし解き放たれるその瞬間を待ちかねているかの様に雷光が走っている。
「人よ見るがいい、そして知れ、我等の間にある…」
雷雲が轟く、そして荒れ狂う雷が解き放たれ。
「超えること叶わぬ差をな」
雷は大地を砕く槌と化してレイルに降り注いだ…。
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