第4話 Prologue1-2


魔術的要素の採取では、"水槽のホロスコープ"というアイテムを装備し実績リストを確認しながらの作業になる。

研究というだけあり、ゲームとは思えないほど複雑怪奇なシステムで、殆どヒントが与えられない鬼畜さがあるもののその分経験値も沢山もらえた。


"水槽のホロスコープ"を通してマップを見ることにより、空気中に漂う魔術的要素を見ることができる。

魔術的要素と呼ばれるものは、赤・青・黄・紫・白の5つの色で表され、円や点、線や図形など様々な型が見られる。

特にそれらについてシステム的なサポートはないがストーリー内をよく読むことでわかったり、ストーリーやクエストに関係ないNPC(Non Player Character)に話を聞くことで自然とわかるようになる。


魔術の研究では、マップの地形と魔術的要素の色の関連性を見つけたり、モンスターの分布と魔術的要素の型について調べたり、要素の色の違いは何かということを調べてパズルや図形を完成させることにより、研究完了とみなされ莫大な経験値とともにパッシブスキルシステムが解放される。


ボスモンスターからドロップするページは、《tales of original》オリジナル言語で記載されており解読の研究では、正しい日本語訳をキーボードから打ち込むことで、研究完了となる。ふざけた時間と取られる魔術的要素の研究とは違いページの解読はwikiや攻略サイト通りに打ち込めばクリア出来るが、ボスモンスターからのドロップ率が非常に低く加えてゲーム内のページの総数が決まっていることから、入手は簡単ではない。

ページを解読した場合、魔術的要素の研究で得られる半分の経験値とアクティブスキルの追加がされる。


パッシブスキルやアクティブスキルというのは、スキルの分類名だ。

現実世界なら、スキルといえば英語が読める、剣道を習ってるから剣が使えると行ったものや、剣道5段だから素早い突きができる!などだろうか。


《tales of original》のスキルシステムでは、英語が読める、というような体に身についてわざわざ意識しなくてもできる行動や、腐ったものを食べてもお腹を壊しづらいなどの体質的なものをパッシブスキル。

剣道5段の素早い突きなど、意図して行う攻撃行動などをアクティブスキルに分類している。


剣道を習っているから剣が使える、というようなものは、職業システムに分類されており、先程説明した戦士職と魔法職の関係にあたる。


アクティブスキルは基本に最初、沢山の数を取得することが出来、逆にパッシブスキルは最初ほとんど取得できない代わりに魔術的要素の研究を完了することで取得が可能になる。


《tales of original》は研究がメインと言われるだけあって外に出て大勢のプレイヤーがモンスターを討伐している様子は見られず、いくつかある街マップのあちこちで、水槽のホロスコープなどの魔術的な道具に張り付いて研究を行なうプレイヤーばかりだ。

街マップとは違いモンスターが配置されている外マップでも同じで、棒立ちになったプレイヤーたちが同じ方向を向きながらホロスコープを手に作業をしている異様な光景が見られる。


だからといって研究をしなければ戦えないというわけでもない。

確かに戦闘だけしていても大してつよくなれないのに、研究だけしていれば強くなれるので有れば研究するのがもっとも効率がいいといえよう。


しかし、《tales of original》はゲームだ。

効率的に強くなるものいいが非効率的でも本人が楽しめればいい。


《tales of original》では研究以外のやり込み要素としてバトルシステムのマニュアル操作がある。


オート操作、マクロ機能が横行し陳腐なゲームシステムに溢れたスマホゲーム業界で異端的なマニュアル操作。

方向キーとカメラ操作による手動ターゲッティングや、照準操作による攻撃距離の設定、多くのゲームで見られる敵の攻撃範囲を示すエフェクトも見えず、戦闘は全てやり込みによる経験と勘と言ったプレイヤースキルに依存する。


研究が嫌いでも、自由自在な戦闘システムに魅力されるプレイヤーが続出。


《tales of original》はコアなファンを多く抱えることにより、サービス開始から5年が経過してもなお勢いを落とすことはなく、業績を伸ばしていた。


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tales of original ぺよーて @GRiruMguru

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