219話「GW突入」
いよいよやってきたGW。
いつもより早く目覚めた俺は、支度を済ませると昨日のうちに用意しておいた鞄を手に目的地へと向かう。
その目的地とは勿論、彼女であるしーちゃんの家だ。
今日からしーちゃんの実家へとお邪魔することになっているため、昨日のLimeでした約束通り、まずはしーちゃんを迎えに来たのだ。
というわけで、俺は約束の時間通りにしーちゃんの家へとやってきたわけなのだが――、
「いらっしゃいたっくん!!」
俺が来たと分かると、玄関を勢いよく開けて飛びついてきたしーちゃん。
しかしその格好はまだ寝間着のままで、頭にはしっかりと寝ぐせを残したままなのであった。
「しーちゃん、もしかしてまだ寝起き?」
「歯磨きはしました!」
「それから?」
「気付いたら寝てました!」
元気いっぱいに、二度寝したことを告白するしーちゃん。
ここまで潔く報告された俺は、じゃあしょうがないねと思わず笑ってしまう。
「分かったよ、じゃあ支度しておいで」
「はーい! たっくんはリビングで待っててね!」
そう言って、嬉しそうに寝室へと向かって行ったしーちゃん。
そんな、すっかりご機嫌なしーちゃんの支度を待つべく、俺は言われた通りリビングで待たせて貰うことにした。
しかし、リビングへ向かって歩いていると、丁度しーちゃんの寝室を横切ったところで扉が開かれる。
「あ、たっくん! これからここで着替えるからねっ!」
そしてしーちゃんは、そんな謎の宣言してくる。
今その話をしたばかりだから当然分かっているのだが、しーちゃんはまるで何かを期待するような表情でキラキラと目を輝かせており、今日も朝から何を考えているのか分かりやすかった。
「分かったよ。俺はリビング行ってるからね」
「あのね、たっくんなら別に一回ぐらい覗いてもいいんだよ?」
「あはは、覗かないよ」
「え、どうして!? 減るもんじゃないんだし!」
俺の言葉に驚くしーちゃん。
自分で減るもんじゃないんだしとか言っちゃうのは、女の子的にもアイドル的にもどうしたものか。
そんなことを思いつつ俺は、驚くしーちゃんにしっかりと理由を伝える。
「だって、これからしーちゃんの実家へ行くっていうのに、その前にそんな刺激の強いもの見ちゃったら色々大変だからさ」
素直に思ったままを笑って答えると、しーちゃんはポンッとその表情を赤く染める。
そしてもじもじと恥ずかしそうにすると、そっと上目遣いでこっちを見てくる。
「えへへ、そ、それもそうだね……。じゃ、じゃあ、着替えてくるね……」
「う、うん、行ってらっしゃい」
こうして、今度こそ着替えに寝室へと戻ったしーちゃん。
それを見届けた俺は、やれやれと思いつつリビングへと向かう。
しかし、先程のしーちゃんの仕草の可愛さと、着替えているところをどうしても想像してしまう俺は、同じく恥ずかしさで顔が真っ赤になってしまっているのは言うまでもなかった――。
◇
「たっくん! おまたせ!!」
暫くリビングで支度を待っていると、勢いよく扉を開けてリビングへとやってきたしーちゃん。
そして、さぁわたしを見てと言わんばかりに、完全なるドヤ顔を浮かべていた。
着替えてきたしーちゃんは、薄手の白のニットに、ラベンダーのプリーツスカート。
薄っすらとお化粧もしており、耳元にはふわふわとした白いファーの可愛らしいイヤリングが良いアクセントになっていて、その姿は大人っぽさもありつつ天使のように美しくもあった。
「どうかな?」
そして突然リビングへ舞い降りた天使は、期待するように微笑みながら感想を尋ねてくる。
そんな天使を前に、俺は顔が熱くなってくるのを感じながらも素直に感じたままを答える。
「――うん、すごく可愛いよ。正直、こんな可愛い子が自分の彼女なんだなって思うだけで、舞い上がっちゃいそうだよ」
本当に、こんな子が自分の彼女だなんて、今でも時折信じられなくなる。
それ程までに、しーちゃんという存在はやっぱり特別なのであった。
素直に俺が感想を伝えると、見る見るうちに顔を赤らめていくしーちゃん。
そしてソファーへ座る俺の隣まで来ると、そのままぎゅっと抱きついてくる。
「この日のために、買っておいたんだ。大成功ってことでいいかな?」
「そうだね、大成功だよ」
「えへへ、良かった」
そう言って、やっぱり嬉しそうにぎゅっと抱きついてくるしーちゃん。
そんな、天使のように可愛い彼女に抱きつかれた俺もまた、この天使がちゃんと自分の彼女なんだという実感と共に、嬉しさで胸がいっぱいになってしまうのであった。
こうして、無事支度を終えたしーちゃんと共に、いよいよしーちゃんの実家へと向かうことにした。
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