第Ⅰ世界　＜贄ノ異＞

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　――ここはとある大陸（たいりく）に君臨（くんりん）する栄（さか）えある王国（おうこく）。

　突如（とつじょ）現（あらわ）れた魔王（まおう）が世界（せかい）を我（わ）が物（もの）にしようとしました。魔王（まおう）は赤（あか）い目（め）の魔物（まもの）を引（ひ）き入（い）れ、嫌（きら）いな人間（にんげん）には『贄』を捧（ささ）げるように命令（めいれい）しました。

　人間（にんげん）は魔物（まもの）に敵（かな）う術（すべ）もなく、魔王（まおう）の言（い）いなりになるしかありません。

　その時（とき）。救世主（きゅうせいしゅ）となる人間（にんげん）が光（ひかり）と共（とも）に現（あらわ）れたのです。

　魔物（まもの）に抗（あらが）う力（ちから）を持（も）った勇（いさ）ましき者（もの）を人々（ひとびと）は勇者（ゆうしゃ）と称（たた）えました。勇者（ゆうしゃ）はどんな魔物（まもの）でも一振（ひとふ）りで退（しりぞ）けることができました。

　これを知（し）った国王（こくおう）は、勇者（ゆうしゃ）を城（しろ）へと招（まね）きいれました。そして全（すべ）てが終（お）わった暁（あかつき）にどんな財産（ざいさん）や領地（りょうち）や地位（ちい）でも与（あた）えることを条件（じょうけん）に、魔王（まおう）を討伐（とうばつ）するようにとお願（ねが）いしました。