Page.3 『隠されし秘密』
謎多き本の中身が日に日に増えていくが、原因はわからないままだった。そしてこの本にはまだ、空白のページが三ページ残っていた。
翌日、将吾は昨日字が消えるのかを試し、わかったことを二人に話した。
「おいおい、余計わかんなくなったなぁ」
「結構自信あったんだけどなぁ、消せるボールペン説」
楓はがっかりして肩を落とす。
「でもとなるとよ、この最初の文。『隠されし秘密』って本当なんじゃねぇか?」
「可能性出てきたね」
「ここに地図もあるし、試しに行ってみる?」
その日の放課後、三人は地図を頼りにその場所と思われる森の中へ行ってみることにした。しばらく歩いていると、開けたところに出た。その一帯に木は生えておらず、日光が直接降り注いでいる。
「ここかな?」
「おいあそこ」
渉が指をさす方の木の根元に古そうな箱が置かれていた。
「これが『隠された秘密』ってやつ?」
「とりあえず開けてみるぞ」
渉は箱を開けてみた。
すると中には薄汚れた古そうな紙が入っていた。その紙にはこう記されていた。
「
あの本に書かれていた文と似ている文。しかし書かれている内容はあまり理解し難い内容だった。
「悪魔とか悪事とかもうわからん!」
「俺らの周りの誰かってこと?」
「多分。悪魔が紛れてんだろ」
二人は内容がよくわかっていないようだ。
「バカ、比喩よ。悪魔みたいに悪い人がいるってことでしょ。にしても悪事ってなんだろう……」
「沈められるのは汝等だけ。か」
その日はもう夕方だったため、解散することにした。
翌日、将吾は寝坊をしてしまい急いで出掛けた。なんとか間に合い、ホームルームを済ませたあと二人が寄ってきた。
「おいおい今日ギリギリだったなあ?」
なぜか渉は嬉しそうに言う。
「うるさいなぁ、寝坊したんだよ」
「アンタも人に言えないでしょ。てかコレ見て」
そう言って楓は渉の頭を軽く叩くと机の上に自分の携帯を置き、あるサイトを見せてきた。
「なにこれ」
「この学校の裏サイト。こないだ俺らがいろいろ聞いてたからって三浦が教えてくれたんだよ」
そう言われて楓が指さす書き込みに目を移した。
「330 : 名無し 2017/5/21(日) 20:37:16.187
ID : miCoKbysh
転任して来たばかりのH先生が来てから学校の伝統の行事とかいろいろ無くなった。思い出作りとか出来なくなったし、最悪。なんかいろいろ噂あるらしい」
その他にも三年前の裏サイトには『H先生』について多く書き込まれていた。
どうやらその先生が来てから学校のいろんなことが変更されているらしい。
「でも転任したての先生にそんな権力あるの?」
「裏で繋がってたりとか?」
三人はこの「H先生」が誰なのかを予想する。
「このH先生ってさ、畑塚?」
「いや、橋本先生かも」
「その辺ちゃんと調べた方が良さそうだな」
その日の放課後、三人は三年前の学校について他の先生や三浦に話を聞いたり、学校のサイトや裏サイトを漁ってみた。その結果、いろいろと判明した。
まず、『H先生』とは去年転任して来た「畑塚英吉」ではなく、三年前に転任して来た「橋本智和」だということ。さらに、転任前から橋本は元々校長と繋がっており、校長は橋本に借金をしていたため、忖度で橋本を学年主任まで上げ、権力を与えたということ。
そして橋本は、過去にワケありの教師ばかりを採用し、弱みを握って自分を庇うように指導しているということ。
「にしてもクズすぎるな」
「三浦くんの情報網も凄いな……」
「これが世に明かされてないのは弱みを握って口止めしてるからってことね」
「こんなの許されないだろ。明日、橋本を問い詰めてやろうぜ!」
三人は明日、橋本にこのことを問い詰めて、あの紙に書かれていたとおり悪事を暴くことを決めた。
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