第20話 サインを一切出さずに
僕と
入部テストとはいえ1アウト満塁を再現している。
守備位置は
手毬姉ちゃんは黒がメインでピンクのラインが入ったabibasのジャージだけど、
菊枝垂さんは靴を体育の
その菊枝垂さんが左バッターボックスに立とうした時、青葉さんは戻ってきてホームベースの後ろ側に立った。当たり前だけど青葉さんも左手にはキャッチャーミット、それとレガース・プロテクター・ガード・ヘルメットをしているし、マスクを被ると同時に腰を下ろした。
左バッターボックスに菊枝垂さんが立ち、バットを構えた時に早晩山先生の右手が上がった!1アウト満塁で入団テスト開始だ!
去年の夏、全国中学校ソフトボール大会県予選準決勝の6回裏の時は、青葉さんは初球にブラッシュボールを要求した。だが、僕の位置からでもハッキリ分かるけど、青葉さんがミットを構えている位置はド真ん中だ!
手毬姉ちゃんはピッチャーズプレートに立ち、軸足を半歩前に出して上体を少し前傾させ、プレートを踏んだ軸足のつま先に体重をかけながら、腕を後ろに引き上げて勢いをつけた。そのまま腕をスウィングして前に出しながら、大きくステップして身体を前に送り出した。足は青葉さんの方に向かって真っすぐ、大きく胸を張って軸足でピッチャーズプレートを強く蹴り、踏み出した前足を強く踏み込んだ。そのまま青葉さんにさんに対して半身になった状態で、身体の正面で両腕で円を描くように、両腕を振り上げた!ステップした足を着地させると同時に腕を一気に振りおろし、踏み出した前足の内転筋を強く締め、下半身にひねりを加え、腰に腕の内側をぶつけるようにして、手首のスナップを利かせながらボールをリリースした!俗に言う
”バシッ”
手毬姉ちゃんが投げた初球は青葉さんがミットを動かす事もなく吸い込まれた!初球のド真ん中のストレートを菊枝垂さんはアッサリ見逃し、早晩山先生はストライクをコールした。
青葉さんは一度立ち上がると球を手毬姉ちゃんに投げ返したが、すぐに座った。今度も青葉さんのミットの位置はド真ん中だ。
い、いや、青葉さんはサインを一切出さずにミットを構えている!という事は、どう考えても手毬姉ちゃんはド真ん中のストレートしか投げない!チェンジアップ、カーブ、決め球のライズボールといった変化球を投げる気が無いとしか思えない!!
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