5. 頭が痛い
高校の修学旅行で、とある古都へ行った時のこと。
グループ行動で寺社仏閣を巡る日、わたしのいたグループは協調性にやや欠ける人が多く、目的地ではバラバラに行動していた。
仏像が多く祀られているとある場所で、仏像好きのわたしは熱中するあまり他の皆とはぐれ、ひとり遅れて併設する資料館に入った。
中に入ると同じグループの人が何人かいたので安心し、そのままマイペースで様々な資料を見て回る。
ところが、奥へ進むにつれて頭が痛くなってきた。
元々頭痛持ちなので気にせず進んだが、二階へ上がったところで痛みが酷くなった。
これはダメだ。
限界を感じて仕方なく一度外に出ると、なぜか頭痛はピタリと治まった。
冷房が効きすぎていたか、空気が悪かったのかな、と不思議に思っていると、グループのひとりに声をかけられた。
ひとり遅れたことを詫びつつ、資料館に入ったら頭が痛くなったので出てきたと言ったところ、彼女の表情が固まった。
「ねえ、もしかして霊感ある?」
そう聞かれ、たぶん見たことはあると思うけど、と答えたところ、真顔になった彼女が言った。
「うちのグループ、あの資料館で頭痛がするって言って出てきたの、他にも二人いるんだよね」
他にも寺社仏閣や資料館には行ったが、ここ以外ではみんな体調不良も起こさず、何事もなく旅行を楽しんだ。
頭痛の原因は未だに謎だ。
―終―
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