第2話 追いかけた男2
三月、四月と月が回った。日々の仕事をこなすうちに、仕事のペースを掴めるようになってきた。ただ、二月からこっち、舞い込む仕事の量は右肩上がりに増加している。日々の就業時間は確実に遅くなっている。六時で締めていた事務所の窓から、八時、九時になっても明かりが漏れている。受注元の企業や小規模な飲食店などの客先を回った帰りに、神田の古いビルの窓を俺は見上げている。この頃には会計の仕事の他、片手間でやっていたメールを介した仕事の受付窓口の役割がどんどん拡大して、顧客と実際に面談して期日を調整するまでになっている。
繁忙期である。……平子さんがそう言うだけで、まだ就業から一年を回っていない俺には本当にそうなのかどうなのかなんて、知らないが。
顧客が自分の要望が通らないと知って怒られることもある。下請けを受注する人間にその傾向は顕著な気がする。理不尽に感じることもあるが、俺は頭を下げる他ない。俺は神田の事務所で滋養ドリンクを飲みながら制作作業をしている城之内や平戸さんを知っている。
ある朝、雨が降っていた。客のデザインの完成サンプルを見たいという要望を受けて、新宿のとあるジャズ喫茶へ面談に赴いた。店主の男は三十台だったが若々しく、生活にゆとりがあるような雰囲気だった。俺は幾つかのサンプルページを持参したノートパソコンで開いてみせた。期限の交渉は円満な内に終わった。出されたコーヒーは美味かった。
都内で休日の時間を持て余した俺は、そのまま駅前の書店に入った。小説の新刊をチェックすると、気になる作家の新著が数作あったので、それらをまとめてセルフレジに通した。それから近くのビル、二、三階に入っている喫茶店に入って、さっそく本を読み始めた。雨はまだ降り続いていた。
腹が減って、集中力が切れた頃に、窓の向こうを見た。俺は煙草に火を付けて、しばらく何も考えずに煙を吸って吐いてを繰り返していた。
喫煙席と禁煙席を隔てる自動ドアの開いて、入ってきた男が真っ直ぐ俺のところに来た。
「宮本くうん!」
高野さんだった。。以前、田村と訪れた居酒屋の主人だ。
「最近店来ないじゃん。心配したよー?」
高野さんは短髪で、笑う時と金を数える時には通常でも細い目が線になる。どこからどう見ても脂ぎったおっさんなのだが、話し方が十代の女の子みたいで、そこが気味が悪い。彼は俺に断ることなく、対面の席に座った。スラックスのポケットから出したハンカチで額の汗をポンポン叩いた。背後にいる店員を呼んで、メニューを指差して注文した。
「高野さん、何してるんですか」
俺は煙草をもみ消した。高野さんは腕を組んで椅子に凭れた。
「俺だって喫茶店くらい入るよー」と言って、唇を尖らせた。「宮本くん休み?」
「さっきまで仕事してましたよ」
「大変だね。転職したんでしょう」
「いや、まあ、前よりは……」俺は新しい煙草を出した。「……あれから田村は?」
そもそも、高野さんの店は田村の馴染みの店だったのだ。
「英子ちゃん? たまに来るけど」
自働ドアから店員がやってきて、高野さんが注文したケーキセットをテーブルに置いた。
「おっ、はやい。おいしそう。……かわいい……」高野さんの目が線になった。「宮本くんさー、もっと彼女に優しくしてあげなよ」
「は?」
「英子ちゃん、寂しそうにしてるから……」
高野さんは唇を尖らせて、チーズケーキをフォークで突いた。気味が悪い。それから彼は一生懸命ケーキセットを啄み始めた。前のめりになってコーヒーを啜る彼はデカイなめくじのようだった。
阿佐ヶ谷駅で降車して、細い町並みを北西に進む。ここら辺の街角には、大抵誰からも忘れられたような薄汚いベンチだとか業務用のビール樽だとか、吸い殻が目に詰まったスタンド灰皿などがある。しかし、何故か夕刻になるとベンチには老人がぼーっと座っているし、ビール樽のラベルはあっち向いたりこっち向いたりしているし、灰皿の目詰まりは無くなっている。それでいて駅前から抜けると、道路は狭いままで閑静な住宅街、都会らしい顔を見せてくる。
変な町だ。
恐らく、弟の大知はまともな職に就いていない。だが、あいつは割と良いアパートに住んでいる。必要もないだろうに、ダイニングと洋室がある部屋で、バルコニーへはそのどちらからも行ける。キッチンは広く、風呂には追い炊きの機能が付いている。家賃は十五万を超すだろう。
大知の母親は俺と同じだが、父親はあいつの方が金持ちだ。
アパート八階の大知の部屋のインターホンを押した。返事は無かった。ドアに耳を付けてもう一度押したが、部屋の中からそれらしき音は聞こえなかった。俺は左右を見て、アパートの通路に誰もいないことを確認した。
俺はやや乱暴にドアを殴った。返事は無かった。
「ちっ」
俺は力強くドアを蹴ろうとした。ドアが開いた。女みたいな男が出てきた。こういうと馬鹿みたいだが、本当に女みたいな男だった。面識は無かった。彼は一瞬俺と目を合わせて、勢いよく部屋を飛び出して、階段を降りていった。玄関から続く廊下の左側の扉から、濡れた金髪をタオルで拭くパンツ一丁の大知が出てきた。
「あれっ兄貴」
「なんか、誰か出て行ったけど」
「ああ、友達友達」
大知は奥のダイニングに引っ込んで、ものの数秒で外に出られる格好に着替えて出てきた。
「美術館行きてえなあ」部屋の鍵を閉めながら、大知が言った。
「上野でも行くか」
「冗談だよ。兄貴と二人でそんなとこ行くかよ」
俺と大知は近くにある小さい公園まで歩くことにした。公園は小さいが、ボールで遊ぶコートがある。
俺と大知は兄弟だが顔は似ていない。俺の顔は母親に似ていて、大知の顔は父親に似ている。俺の父親が死んだ後に、母親は大知の父親と再婚した。俺が中学二年の時だ。そのとき大知は小学五年生だった。つまり、大知は俺の三つ下ということになるのだが、身長は俺が高校に入る頃には殆ど同じだった。そして、母親は俺が高二の時に離婚した。
離婚はしたものの、俺の母親と大知の仲は悪くない。むしろ、それぞれが俺より仲が良いくらいだと、俺は思う。そして、俺の母親は今でも大知を気に掛けていて、俺に大知の様子を見るよう言うのだった。ここのところは月に一度かそのくらいで俺と大知は会って近況報告のようなことをしている。
「お袋元気してる?」
「元気さ。朝ドラに嵌まってるよ」
「あー、あれ面白いもんな」
俺は見ていない。興味もないし、最近は見る暇もない。
「新しい仕事どうよ」
「最近は忙しいけど、前よりマシ。給料はだいぶ低いけどな」
公園に着いた。小学校高学年くらいの子供達が、園内の金網で囲まれたコートで遊んでいた。俺たちは中央にあるベンチに座った。後ろには木が立っている。近くにはブランコや滑り台などの遊具があるが、子供はいなかった。
「お前は生活できてんのか」
「俺は親父の仕送りがあるからな」
俺は息を吐いた。コートの中でサッカーする子供達をぼーっと見ている。
「お前さあ、やりたいこととかねーの?」
「ねー」大知は金色の髪を手で擦った。「いや、ある」
俺は大知を見た。
「肉食いてえな」大知は笑って立ち上がって、アキレス腱を伸ばすストレッチを始めた。
大知と物を食べるときは、大知がカードで支払う。カードの名義人は大知だが、実際は大知の父親が支払っている。
大知は公演の敷地内を二週くらいとっとことっとこ小走りして、そのまま球技用のコーナーに乱入した。中で遊んでいた子供達はわあだかひゃあだか悲鳴みたいな声をあげたが、大知が右手を挙げると自然な感じでボールが転がってきていた。それで、そのまま大知は子供達に交じって遊び始めた。
スマートフォンで近くの小さい劇場の上映時刻を調べると、丁度良い具合に時間を潰せる作品があった。覚えの無いタイトルだったが、そもそも最近は最新映画の情報を仕入れていなかった。
「大知!」
ボールをキープしていた大知は俺を一瞬見て、近くの子供に回した。
「映画見てるぞ」と、俺は言った。
大知は金網越しに右手を挙げた。俺の言葉は伝わったらしかった。そして、また軽い足取りでボールを追いかけ始めた。
取り敢えず、ここらで金髪で痩せ型の不審者が出たという情報は聞いたことが無いから、ここらの町内は平和なんだろう。
駅を南に抜けてすぐの所にある焼き肉屋で夕食をとった。大知はなんだかそわそわして落ちつかない様子だった。何か切り出しにくい話があるな、と思った。
「……兄貴よお……」
まず、大知はとびきり情けない声で俺を呼んだ。俺は肉を食いながら視線だけ大知に向けた。
「貯金ある? ……ないよなあ……」と、失礼なことを言い出した。
俺は箸を置いた。
「少しならあるぞ」
「えっ!」
「なんだ、なんか欲しいもんでもあんのか」
俺は優しい声色で言った。ただし、俺には大知に金をくれてやる気は全くない。ただ、金の用途を知りたいだけだ。
「いやあ、まあ人助けというか……」
「は?」
大知は妙に汗をかいてニコニコしだした。それで話は終わったとばかりに小鉢のキムチを食べ始めた。
「おい、人助けってなんだ」
「兄貴、取り返しの付かない間違いって、経験あるかよ」
「……ああ?」
大知はキムチの小鉢をテーブルに置いた。ジョッキに残っていたビールを飲み干した。
「俺は、ねー!」
大知は赤い顔で叫んだ。
「嘘つけ!」
少なくともこいつは高校卒業後、受験も就職もしていない。
「ねーんだよ! 俺は……」大知は手で顔を擦った。
「要するに、金が必要なのはお前の友達なんだな?」
つまり、大知の友人が借金か何かをしていて、こいつはそれの手助けをしたいと思っている。そして、あてにしているのは俺の財布だ。大知の父親は生活費は出すが、明らかな娯楽費はその用途を大知に問いただすのだ。俺は煙草を取り出して、火を付けた。
「わっ、くせっ! くせえ!」
大知は顔をしわくちゃにして、煙を手で煽った。
「……で、幾ら要るんだ?」
「兄貴、貸してくれんのか」
「貸す貸さないじゃなくて、幾ら必要なのか聞いてるんだ」
「幾ら必要か教えたら、怒るからいわねえ」
大知は過度に酔っているわけでも、ふざけているわけでもない。ただ、頭が少し悪いのだ。
それから、俺は大知の人生哲学らしきものをだらだらと聞いた。俺はいつもこいつがどういう生活をして、どういう刺激を受けているのかには興味が無かったが、大知は大知なりに日々の生活の中で人間というものを考えているらしい。
ビールを三杯空けた。
「……人間って、多分みんな、とんでもない間違いを犯しちまってるもんなんだよ。他人から見たら、すげーちっぽけなことかもしれないけどな。……俺はないけどさ……」
「……」
「……そう、俺にはないんだなあ……。……だからか、そういう人間を見たら俺はとても切ない気分になる」
話が飛んだ気がする。
「馬鹿なことしてる奴を見ると、気の毒だって?」
「ちげー! 俺が言ってんのは今のことなんだよ」
大知もまた、三杯目のビールを空かした。
「今しかないような生き方をする奴を見てると、ヤな気分になる。まるで今日が世界の終わりみたいな顔してるんだから」
そろそろ、話が抽象的になりすぎて、大知の言っていることが分からなくなった。
「結局幾ら欲しいんだよ」
大知は、充血した目で俺を見た。
「そりゃあもう、沢山だなあ」と深刻そうに唸った。
俺は思わず笑ってしまった。
「お前さ、そいつに騙されてるんじゃねーのかよ」
大知は傷ついたような顔をして、「ひでえ……」と呟いた。それから俺を哀れむような眼で見て、「そういうこと言ってたら、嫌われちゃうぜ」と言った。
*
繁忙期は、平子さんたちと俺では作業量が全然違うようだ。四月の半ば、俺は敢えて顧客と会う段取りを取って外回りするようになった。あのエンジニアが納期と戦っている空気は、中々耐えがたいものがある。それに、俺は営業みたいな、とにかく知らない人間に頭を下げる仕事に慣れつつあった。慣れてしまえば、理不尽な物言いをされてもどうということはなかった。
それでも俺が仕事を意識的に怠けたことは、無いと思う。外回りのスケジュールは割りと隙間無くこなして、空いた時間には出先の喫茶店でメールをやり取りした。
手に職が無い、っつうのがなあ……。
俺はとにかく、じたばたあがいて社会に貢献するしかないようだ。
以前から赴いていたジャズ喫茶のマスターと仲良くなっていた。マスターはパソコンだとかインターネットには弱いが、とにかく新しいものは否定する前に迎合してみようというスタイルの、今時といえば今時の頑固ではない爺さんだ。平子さんが設えたウェブサイトで、店で演奏するアーティストの紹介や珍しいコーヒー豆の入荷情報、それ以外にも日々の雑多な日誌などを公開していて、要するにブログを書いている。読者はそれなりにいるようで、ブログの記事は大抵SNSでシェアされているようだ。だが、まだ写真を記事に貼ったりする時には混乱するらしくメールで連絡を寄越してくる。
マスターには音楽方面の伝手が数多くあるようで、四月も終わりの頃、<ジャズバンド・スプリング>というジャズコンサートのチケットを二枚頂いた。最近勢いのあるらしいアーティストが出演する割と本格的なもので、五月の中旬、祝日の昼から始まる。終わる頃には日が暮れかけているだろう。コレにサービスしてあげなよ、と彼は小指を立てる。要するに恋人でも誘いなよ、ということらしい。貰っても困るので、断ったのだが、マスターの押しに負けて結局持って帰ってしまった。
この頃、以前から急に感じていたような眠気は少なくなっていた。やはりストレスが原因だったのかもしれない。
俺は実家の自室でビールの缶を開けた。
俺の交友関係の仲で、最も仲が良いと思っているのは、今のところ仕事を紹介してくれた従姉妹で、その次に田村。次いで母親が来て……城之内、平戸さんあたりがくると思っている。男同士で行くのは論外だし、親戚と行くのも変だろう。というわけで、俺はまず田村にメッセージを送った。仕事を理由にすげなく断られた。番付に従えば、次は平戸さんか城之内ということになる。
俺は布団に寝転んで、天井を仰ぎ見た。部屋は随分片付いている。引っ越しに備えて、とにかく床に転がっている物を段ボールに詰めた。すると不思議なことに部屋はみるみる綺麗になっていって、最終的に主立った家具は学習机、本棚、ベッド、小さな卓、ゴミ箱を残すのみとなった。
ベッドの上に寝転がってちょっと悩んだ。体を起こして、座卓に置いてあった煙草を取って火を付けた。
……流石に、そういう仲でもないよな……。
後頭部を痒くも無いのに掻いた。
結局、従姉妹を誘った。「ええで!」とのことだった。従姉妹は関西人ではないが、何故かメッセージのやり取りでは変な関西弁を使う。
*
五月の頭に、一度田村を見かけた。大知と目黒のバーに出向いた時のことだった。 田村は俺の知らない男と大通りの歩道を歩いていた。仲は良さそうだった。自分が思っていたより感情は動かなかった。ただ、時間の流れを感じた。
濁流のような、止めどないと思われていた仕事の依頼は、それでも五月に入ってからは鳴りを潜めたようだった。今は、以前とは反対に平戸さんと城之内は事務所でのんびりしていて俺は決算書類を纏めるのに忙しかった。
城之内は定時を迎えるとそそくさと帰宅した。平戸さんは電車の混雑時を避けているらしく、定時から一時間か二時間は事務所のパーティションの向こうで何かしていた。書類を片付けるついでに彼女のパソコンの画面を盗み見ると、あるときはネットニュースだったり、あるときは犬猫の動画。それらを彼女はまるで仕事をしているかのように見ている。そして、この事務所ではミーティングと挨拶以外での会話は少ない。まあ、それはそれで気楽で良い。
夜、俺は事務所に一人でいる。二人が帰ってからも作業を続けていて、いつの間にか眠っていたらしい。暖房や灯りなどの電源を落としてから、事務所の扉を閉めた。深夜で、辺りには誰も居なかったが、一応、ビルとビルの間に隠れるように入って煙草に火を付けた。灰はコーヒーの空き缶に落とした。そういえば、明日は休日で、ジャズコンサートの日だった。
スマートフォンを見ると、夜の三時だった。
これは結構インパクトがある。
……三時!
実家まで、片道でおよそ一時間。そして、深夜の交通手段は割高のタクシーのみ。色々考えたが、事務所で寝ることにした。安眠とはいかないが、カバンを枕代わりにすれば眠れないこともないだろう。コンサートは……この格好でも問題ないだろう。ビルの手洗いを使えば、歯も磨けるだろう。顔も洗えるだろう。多分……。従姉妹は知らない間柄でもない。子供の頃から長期休みや正月によく会っている。姉弟のような間柄だと思う。多少くたびれた格好をしていても問題はない。
三時のインパクトで見落とすところだったが、零時頃に田村からメッセージが届いていた。文面は前回と全く変わらず、飲みの誘いだった。
……田村はどういうつもりなのだろうか?と考える。分からない。世の中分からないことだらけだ。
寝た直後だからか、ちょっと頭がぼーっとしている。俺は取り敢えず返事を保留した。保留した、というよりは既読無視した。
近くの自動販売機で水を買ってきて、また煙草に火を付けた。大分、頭が澄み渡ってきた。メッセージを送るのに時間なんて関係ないかと思い直して、結局田村の誘いを断った。田村の考えていることは分からないが、なんとなく今は会わない方がいい気がした。
翌朝は着信音で起きた。見慣れない天井だったので一瞬混乱したが、昨晩事務所の床で寝たことをすぐに思い出した。ダウンジャケットに包まれば案外良く眠れた。寝る前にスーツのジャケットは脱いで椅子に掛けておいた。
送信元を確認しないまま電話に出ると、「寝てた?」という従姉妹の声が聞こえた。「寝てた」と俺が言うと、「今日でしょ? ジャズのやつ」と言う。俺はまだ反応が鈍い瞼を擦った。それから、手短に今日待ち合わせる場所、時刻を決めて通話を終えた。
時刻を確認すると、十時半だった。コンサートの開場まではまだ二時間くらいある。
会場は渋谷にある高層ビルの三階で行われる。俺は取り敢えず時間を潰すために、待ち合わせに指定した渋谷の喫茶店でカバンに入れていた文庫本を読んだり、店の棚にある新聞を読んだり、煙草を吸ったり、うとうとしたりぼーっとしたりしてなんとか時間を潰した。
二杯目のマンデリンを飲み終わる頃に、店先に女が二人見えた。一方は従姉妹だった。彼女たちは並んで店内に入り、寄ってきた店員に何か伝えた後、真っ直ぐこちらにやってきた。近くに来て初めて気づいたのだが、従姉妹の連れは平戸さんだった。服の感じが普段より違ったので分からなかった。それで、結構驚いた。取り敢えず挨拶した。
それから従姉妹が一方的に喋り出して、何故か彼女の中では俺と平戸さんがコンサートへ行くことになっていた。従姉妹は久々に俺に会うついでに近くで行われる芸能人のサイン会に行くということになっていた。俺は段々と今日が怖くなってきた。その間、平戸さんは口角を少し上げていたが、なんとなく緊張している感じが、せわしなく動く眼の動きから伝わった。それで、従姉妹の話がちょっと落ち着くと平戸さんはトイレへ行った。
「というわけなんだよね」と従姉妹が言う。
「困るよ」
俺は真剣だった。本当に切羽詰まっていた。
「あのさー、あんたもいい歳なんだからさ、美鈴と付き合えとは言わないけどさ、もっと女性との付き合いを覚えないと駄目だよ」と、キツい感じで言った。
「困るよお……」
「情けない声を出さないで」
「……」
従姉妹は怒っている。ついこの間まで関西弁で気の良い返事を返してきたのに……何か嫌なことでもあったのかもしれない。
「ほんと、こういうのに従姉妹を誘うなんてさ……」
そこで平戸さんが戻ってきた。改めて彼女を見ると、普段より私服のグレードが違う。事務所に来るときには付けていないピアスを付けている。気合いが入っているという感じがする。
石の階段を上がると正面玄関があって、ホテルのロビーに続く。地上階にはガーデンキッチンやちょっとしたアートギャラリーがあって、エントランスには色んな種類の人々がソファに座ったり立ってスマートフォンを弄っていたりしている。あと十三分ほどで開場の時刻だった。エントランスで開場を待っているらしい人々の服装を俺はチェックした。
「俺の服、ちょっと浮くかな」と、独り言のように言った。
いつものスーツだが、ネクタイを外して多少カジュアルに着ている。
「きっと大丈夫ですよ。ほら、ジーパンで来てる人だっているし」平戸さんは目線だけで俺よりラフな格好をしている男を示した。
確かに、ラフな格好の若者もちらほら目に付く。
「はあ。……ちょっと田舎モンみたいですね、俺。なんかすいません」
平戸さんは笑った。
「でも、まさかいつものスタイルで来るとは思いませんでした。もしかしてこのコンサートも仕事の一部ですか」
一拍おいて、彼女が分かりにくい冗談を言っていることが分かった。
「違いますよ。……事務所で作業していたら、いつの間にか寝ちゃって。昨日」
「ええっ!」
「いや、そんなに驚くこともないんですけど。今年に入ってから急に眠くなることが多くって。なんでかは分からないんですけど」
「そう。……でも、あんまり良い雇用主では無いですよね、私って」
「いや、そんなことは無いと思いますけど」
平戸さんは腕時計を見た。
「そろそろ開場ですね。行きましょうか」
それで会話の続きは場所を移して三階、エレベーターに乗って行った。
会場はシックな空間で、ライトを裏に仕込んだ階段を上がって行くと、思っていたよりずっと広かった。会場のライトは控えめな暖色で、俺は新宿の映画館を思い出した。このフロアの中でも階段で一階席、二階席とありそれらは木目調のテーブルと椅子だった。右手の隅に鮮やかな寒色のパネルが壁を覆っていて、照明装置、音響装置、グランドピアノがある。そこで演奏するらしかった。
俺たちの席は二階席の左手奥で一番端だったが、ステージはよく見えた。
「ここ、良い席なんじゃないですか? すごく見晴らしがいいというか、会場が俯瞰できる」
「かもしれません」
テーブルに付くと、ウェイターが速やかにメニューを持ってきた。フレンチのコース料理だった。会計は俺が支払った方が良いのだろうか、と考えながらお互い適当に注文した。とはいえ、俺たちが頼んだソフトドリンクは焦る程の値段では無かった。だがドリンクメニューの一部のワインが目玉が飛び出るほど高かった。
「それにしても、ジャズを聞くなんて知らなかった。茅さんから、宮本さんがペアチケットの相手を探しているって聞いたとき、びっくりして」
そういうことになっていたのか。
「すいません、あの従姉妹から無理矢理誘われたんじゃないですか」
「いいえ、そんなことは……。あんまりこういう機会ないから。でも、何か変な巡り合わせですよね。……」
会場が人で埋まってきた。俺はその様子を二階の端のテーブルから眺めている。
ウェイターが飲み物を持ってきた。
さっきまでは会話のネタが心配だったが、不思議と楽しく話せている。
「……そう、ここのチケット、お客さんから頂いたんですよ。覚えてるかな、ジャズ喫茶を経営している方なんですけど」
「よく、メールでお問い合わせ頂いている方ですね」
「はい。何度も出向いている内に仲良くなって。……外回りでサボってるわけではないんですけど」
「分かります。……私って、知らない方とお話するのが、すごく苦手で……。前に似たようなことを話したかな」
「ああ……。<焼き串本能寺>」
平戸さんは笑って、「そうそう」と言った。
「前の職場と比べて楽になったと思うのって、やっぱり人間関係なんですよ。職場もそうなんですけど、やっぱりそういうお客さんとの折衝、というか」
「そうなんですか? 平戸さんにそんなイメージないんですけど」
平戸さんは大げさに右手を顔の前で振った。ちょっとおじさんみたいな仕草だった。
「私はもう、そういうのが本当に苦手。一日三件お客さんと打ち合わせするくらいなら、徹夜で制作する方が全然って感じで」
「そうなんですか……でも、一日中パソコンと向き合ってるのもそれはそれで……」
平戸さんは同意するようなそうでもないと言うような、曖昧な苦笑を浮かべて首を捻った。
「まあ、そうなんですけど、案外へっちゃらな人はエンジニアに多いんじゃないかな。そういうの」
俺は少ししか口を付けていないジャスミンティーを置いて、結局カクテルを注文した。平戸さんは廉価な値段のワインを注文した。赤だった。
テーブルに前菜が並び始めた。お互い、少し酒に口を付けた。
「俺って、少しは事務所の、」そこで言葉を一拍置いた。「……平戸さんの役に立っているんでしょうか?」
アルコールで多少軽薄になった口から出た言葉は、自分の中の思いも寄らぬ部分だった。
赤ワインに口を付けていた平子さんは、驚いたように眼を丸くした。そして、ワインを置いた。もう半分減っていた。
「それは、勿論」そこで、右手を口の辺りに当てて考えるような仕草をする。視線をテーブルの上に彷徨わせている。「……私、最近仕事が楽しいんです。自分自身を適材適所出来ているっていうか……」
俺と平戸さんの目が合った。
「正解だったと思いますよ。あなたを雇って」
会場内にMCの挨拶が聞こえた。そろそろ開演の時刻だった。
*
コンサートが閉演した後、特に深い考えもなく「またこういう機会があると良いですね」と俺が言った。
俺たちは事務所の帰りに何度かそうしているように、二人で駅までの道を歩いている。 夜はまだ深くない。
「そうですね。……再来週末にでも、飲みに行きましょうか」
雑談の流れの一部のような提案のつもりだったが、具体的なスケジュールを提示されて少し焦った。
「こういう機会」とはどういう機会を指すのだろうか、と自分で言っておきながら疑問に思う。ただ酒を飲んで会話を交わすだけなのか、……そこに城之内は居るのか。
会話の流れで、例のマスターが書いているブログの話になった。そして、また今日の演目で心惹かれた曲の話に戻る。曲の名前は覚えていないが、順番は覚えている。会場で貰ったプログラムと照らし合わせて、多分一人では聴きもしないのにスマートフォンで曲名を調べた。
そして、再来週の目的は例のジャズ喫茶のマスターへお礼を伝える、ということに定まる。どちらがそうと言い出したのかは曖昧だったが、次の「こういう機会」としてはこれ以上に自然なものはないと思った。それからどうするのかは分からない。ただ、二人きりであることは暗黙的に決まっていたように思う。
その日はそれからも駅の改札に入る前で立ち話をした。どうでもいいような質問を投げ合って、ネタが尽きた頃には沈黙があった。その頃には大して本数の多くない列車を三本見送っていた。
*
翌日の日曜は、珍しく大知から連絡があって夜に飲むことになった。店選びは俺に任されたので、高野さんの店の位置情報を送った。多分、大知でもスマートフォンを使って位置情報を辿るくらいの知恵はあると思う。午前から高野さんの店が開く時間までは家で本を読んだりインターネットで動画サイトを見て時間を潰した。
家を出る頃には空は赤い。列車に乗って、赤坂見附に向かう道すがら、何故俺は高野さんの店を選んだのかと考える。
……考えるまでもない。偶然、田村と会えるかも知れない。そう思っている……願ってはいない。ただ、やけに鳩尾の辺りが急いている。そうするべきだという……義務感のような。
感情の分別は付いているが、その発生が分からない。欲望ではない、自分の中に散らばった幾つかの断片が、磁場の影響でくっつき合って出来たような……。磁場は恐らく昨日の平戸さんとの会話で発生した。
……法則の無い動きで組み合わさって、元は断片だったそれを本能と言うのかもしれない……。
京浜東北線の車中でスマートフォンが振動した。大知からメッセージが来ている。
「迷った!」と言っている。
大知は赤坂見附の地価から上がったところの広場で跳ねていた。跳ねていた、というのは字義通りで、その場で垂直にぴょんぴょん跳ねていた。理由を尋ねると、「さみーから」と言う。まあ、大知を探している人間にとっては分かりやすくて良いと思う。
高野さんの店は、少し前から開いている時間だった。以前田村がゲロを吐いていた電柱を過ぎて、地上から地下へ行く階段を下る。木組みの扉をスライドして店内に入ると、奥の二つしかないテーブル席には先客がいた。俺たちはカウンターに座った。
高野さんは最初に大知を見て「いらっしゃいませー!」と丁寧に挨拶をした。それから隣に座っている俺と目を合わせて、「みやもとくうん!」と唸った。奥の客はそんな高野さんに全く構わず、自分たちの話に夢中になっている。
高野さんは俺と大知を交互に見た。それで、とても嬉しそうに灰皿を出す。
「えー、誰この子。知り合いー?」
「弟です」
大知は襟に突っ込んで肩を掻いていた手を出して、「てっす」っと言った。
「ちゃんと挨拶しろ、大知」
「あ、大知っす」
「高野です。いらっしゃいませ」高野さんは微笑んでいる。
取り敢えず俺はウイスキーを注文した。大知はビールを頼んだ。
俺は煙草に火を付けた。
「だあッ! じゃっ!」大知が大袈裟に顔の前で手を振リ出した。「くっせ! くっせ!」 俺は無視して吸った。
「高野さん、最近田村は?」
「ちょくちょく来てるよ。来てるけど……今日はどうかな」
大知がカウンターの上に吊している黒板を見た。書かれている料理の名前を高野さんに言った。高野さんが奥に行って料理に打ち込み始めた。
俺はテーブルに突っ伏していた。大知が居なくなっていた。瞼が重かった。頭を上げると肩がずんぐりと重かった。高野さんの店でウイスキーを四杯くらい飲んだことまでは覚えている。
「大知は?」俺は瞼を擦りながら聞いた。
「今トイレ行ってるよ、ほら」
高野さんが指差した先のトイレから、大知がズボンを上げながら出てきた。
「あっ、ちゃす」大知はへらへらしながら、俺の右隣に座っていた客に頭を下げた。そっちを見ると田村がいた。
「兄貴の彼女さん?」
大知は俺の左隣に座って、田村に聞いた。
「そういうのじゃないから」田村の口紅がやけに赤く見える。
「……寝てた……何時間経った……?」
高野さんは何か洗い物をしている。
「三時間くらい経ってんだよ。もう帰ろうちゅっても、兄貴寝ちまうんだもんなあ」
俺はスマートフォンで時刻を確認した。九時を回っていた。平戸さんからメッセージが来ていたが、確認はしなかった。
田村を見た。田村は肩の辺りまであった髪を、ショートというのかボブというのかよく分からないが、とにかくその辺りまで切っていてびっくりした。
田村は俺の視線に気づいたらしく、照れたように右手で後ろ髪をふわふわ触った。彼女はとても疲れていたように見えた。
大知はビールをちびちび飲みながら高野さんと話している。高野さんは腕を組んで、大知の脈絡も論理もない話を聞いている。
「なんか疲れて見えるな」
「疲れてるさ、そりゃ……。最近また忙しいんだから」
「大企業は大変だなあ」
「そうさ。それより、お前なんで私の誘い断った」
「誘い?」
「こないだ深夜に返信してきたろ」
「田村……、男が出来ただろーが」言ってから、ちょっとシリアスな感情が入ったな、と思った。
田村が不思議そうな顔で俺を見た。
「誰がそんなこと言った?」
「言ってないけど、見たんだよ。お前が知らん男と歩いてるとこ……楽しそうに……。あー、どこだったかな。な、見たよな。大知」
「え? 知らねー」大知は顔を真っ赤にしてニコニコしている。多分色々なことの訳が分からなくなっているくらいに酔っている。……俺もか。
「私、彼氏なんていないよ」
「じゃあ、あの男はなんなんだよ」
「あの人は、あれだ……」田村は右手で頬を擦った。恥ずかしがっているようだった。「元社員の人さ。もともとうちの会社にいて……」
「うん、なるほど」と、俺は素直に頷いた。特にどういう納得もしてはいなかったが、何故かそういうポーズを取った。
それで、黙って俺たちは酒を啜った。田村が煙草を吸い出した。俺は吸わなかった。大知は顔を皺くちゃにしたがそれでも喋り続けていた。俺は不思議な自然現象を見たような気分だった。
「もう、新卒で会社入った頃から二年も経つよ。宮本」
「……ああ……」
「楽しかったなー……、あの頃さ、私たち夜駐車場で喋ってさー……」
夢を見るような目つきで田村が言うので、俺は何も言えなかった。
「……宮本、お前って凄いよ……本当に……」
俯いて、冗談とも取れないような言い方をする。田村が吐いた煙が昇る。
「凄くなんかねーよ。生涯年収、もうお前の半分も行かねーぞ」笑い飛ばすように言った。
言って、ああこれ俺が気にしてるとこじゃん、と気づく。気づいて、ああ俺こんな軽い気持ちで言えちゃうんだ、としみじみとした。
店の戸が開いて、祭が終わったあとのような雰囲気の女三人組が入ってきた。俺たちの後ろを通って、暖簾を抜けて奥の席についた。まだ酒が来てもいないのに彼女たちは楽しそうに騒ぎ始めた。
「喋りすぎなんだよなーどいつもこいつも」と、半分瞼が落ちている大知が呟いた。高野さんは奥の客の注文で、また忙しそうになった。
田村は目の前のグラスを射殺すように見ていた。瞬きすらしていないように見えた。
「夜、寝る前……明日の朝になれば、っていつも思ってる。明日になれば……いつか宮本がそうしたようにフッと職場から消える妄想をして、寝るんだよ。……反対側の電車に乗って……」田村が長い息を吐く。「でも、いざ明日が今日になるとね……怖くなってね。将来のこととか……。普通の人間にはお前みたいに吹っ切れねーもんだよ」
「……」
田村は目を堅く瞑った。
「私はもう怖くて怖くて……。昨日までの明日を無かったことにして働くのさ。それで毎日それを繰り返して……だから……」
田村の子供みたいな言い分を聞いてる内に悲しくなってきた。人差し指と親指で目頭を擦った。細く息を吐く。……救いがてえよ……。そんなことを考えている。それで何様なんだよと自分を笑ってにやけている。
「……俺が間違っていなかったっていうのかよ……」
俺の言葉は驚くほど哀れに響いた。
何故か、田村は田村で目元が濡れていた。それに気づいて俺は腹が立った。
「泣いてんじゃねー」
「泣いてねーべや!」そう言って、俺の脛を蹴る。
いてえいてえ。だが、衝撃の殆どが彼女のブーツの重さだけだってことは知っている。 俺は田村とは違うなあ。……田村が、俺とは違うのか。
「田村……俺、良いな、と思う人がいるんだ。今の職場に」
田村は動じなかったが、動じなかったから彼女の受ける衝撃がちょっとだけ伝わってきた。しばらく間があった。「くっ」と、喉がなるくらい激しく息を吸う音が俯いた顔から聞こえた。田村は突然立ちあがる。俺の反対側の席に置いていたらしいバッグをひったくるように取って、頭を乱暴に掻きながら店を出て行く。それを俺は目だけで追っていた。
「宮本くん……」
気づくと、高野さんと大知が心配そうな、気の毒そうな目で俺を見ている。とっても鬱陶しくて、俺は頭を抱えた。
「みやもとくうん」高野さんが普段よりも高い、気味の悪い声で俺の名前を呼ぶ。
「うるせえなあ、気持ち悪い声出さないでくださいよ」
「みやもとくうん」
「どうしろっつんだよ!」
「追っかりゃいいんじゃねえの? 兄貴。捕まえてキスでもすりゃ……」
「うるせっ馬鹿!」
「みやもとくうん」
高野さんが泣きそうな気がする。目が細すぎて分かりにくいが、声の気配でそう思う。
「兄貴、行くしかねえよ。こんな時間だぜ」
俺は大知を睨んだ。
「時間がどうした。あいつは大人だぞ。タクシーくらい捕まえるだろーが」
「……」大知は自分のスマートフォンで時刻を確認する。「……そうだろうけどよお……」
俺は顔を上げて壁掛け時計を確認した。もうすぐ十一時になろうとしていた。それで、田村の言葉を思い出す。明日が今日になると、怖くなる。今日が終わる。そう考えて、田村との関係の終焉を肌に感じる。……今日が終わる……。日本中の家々の電気はもう消えている。今なお明るいそれらも直に消える。そして夜が来て、朝が来る。俺は明日の朝を想像する。多分、明日は大知の部屋で目覚めるのだろう。そして、いつものように仕事に行く。田村のことは多分気になっている。しかし、今日を生きる日々の中で思いは薄れて、霞んで消えていくんだろう。
*
高野さんの店から地上への階段を昇って、夜の町に出た。駅前の方面に早足で歩いている途中、赤信号に引っかかった。近くのコンビニの窓ガラスにぼんやり俺が映っている。俺は走っているわけでもないのに息を切らして肩を上下させている。
……何を拘っているんだよ……。
気づけば、信号はとっくに青になっていて、もう点滅している。横断歩道を走って渡って、そのまま駅前で田村を捕まえるまで走り続ける。
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