当たり前のこと

@hironosuke6565

第1話

忙しい日々


立ち並ぶ摩天楼


行き交うスクランブル交差点



その中で君は怯えていた


泣いていた


でも愛想笑いはしなかったね



中途半端な生き方の二人だったから、中途半端な二人が育む愛だったから、


当たり前のことを大切にできた



みんなゴミを捨てて通り過ぎてゆく


便利さと幸せを履き違えてる



君は怯えながら言った


「ねえ、みんな生きてることを知ってるのかしら?


歩けていること、目が見えることにどれほどの価値を感じてるのかしら?


お金を稼いでるうちにお金の意味すら知らなくなってるのかしら?


もし親が生きてたら、美味しい料理を今なら作ってあげられるのに…。」



あの月を見てる人はどれくらいいるだろうかと俺も思った。

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