第34話 一人目・凸キタぁ!(おしゃぶりって心を無にするよね)
第三ステージまで行けた。
やったぁ!
「ぇへへ……あぃーーーーーっ!」
ガラガラを振って、私は素直に喜……んでる場合じゃない!
凸待ちを始めて15分。一向に掛かってくる気配が無い。
だれか……だれかタスケテ。
心がもう限界に達しようとしたその時――――ディスコの着信が鳴った。
「ばぶばぶぅぅううううーーーーーーー‼(凸ありがとうございます!)」
『レヴィアちゃ~~~ん、クレアお姉ちゃんが来たわよ~~~~』
「…………だぅ」
『んん? なんかスッてテンション下がったな、アレ? おかしいな?』
救いの手を差し伸べたのは、私を抱きしめてクンカクンカしてきた先輩でした。
ヘブンズライブ一期生の鳴神クレア先輩。
こうして話すのは一昨日のASMR配信以来だった。
『あれ……なんか……お姉ちゃん寂しいな。オーディションの時は結構、尊敬されてたと思ってたんだけどな~?』
「ばぶだね(そうだね)」
『冷たっ! この赤ちゃんすごい冷たっ⁉』
[ コメント ]
・なんですか、あなたは!
・うちの子に何か用ですか!
・姉を名乗る不審者
・クレアきたーーーーw
・なにしにきたBBA!
『ヤダ眷属がすごい辛辣‼ なによぉ~~、こちとら歌枠の最中に来たのよ~? レヴィアちゃん苦しんでたからさぁ』
せ、せんぱぁい……っ!
ほろりと涙がこぼれる。
凸待ちに来てくれたクレア先輩のやさしさがミルクより染み渡る……っ!
先輩が来てくれたおかげで1歳になれた――――もう言語を話しても良いんだ!
「ぅ、うー! まぁ……まぁむ、あ、あぃ」
『ん? ん? なんか言おうとしてるな、なにどうしたのレヴィアちゃ~~ん?』
返事を待つクレア先輩に笑いかけると、アバターのレヴィアがニパッと赤ちゃんみたいな無邪気な笑顔を浮かべた。
「あ・ぃ・あ……と! ねぇね――――らいしゅき‼」
『ンガワイぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!』
クレア先輩の全力咆哮に、私はキャッキャッとはしゃいでみせる。
ディスコの向こうから息遣いの荒い、恍惚とした声が聞こえてくる。
『アッ、あかん、出る……母乳出る。可愛すぎて……でちゃぅううううう』
「イラナイ」
『にべもなく! ねぇ、飲んでよォ。ねぇねのお乳飲んでも良いんだよォ、レヴィアちゃああん!』
なんでこの人は、こぅ人の警戒心を掻き立てるのが上手いんだろう?
話す度にどんどん警戒心の高さを上げていくけど、クレア先輩は物怖じせず、
『今度、オフコラボしようね。ねぇねのおうち来てね。ね? ねぇねいっぱい搾っておくからね』
「んぅぅうう! やーあ! やーや!」
『そーかそーか、来てくれるのね~~~よかったぁ~~~~。お泊り来た時は私が子守歌歌ってあげるからね~~♡』
こ、この人……自分の都合の良いようにしか受け取らない!
くっそぅ……ん喋れないからって勝手言わないでよぉおおーーー‼
「だ、だぶーーーーーー!(お、お断りしまーーす!)」
ティロンって音が鳴って、クレア先輩は通話を切った。
ゲーム画面を見たら、放置してたからか、また最初からになっていた。
「……ちゅっちゅっ。ちゅっちゅっ、どぉこぉ~~~?」
私はがさごそとどこかに行ったおしゃぶりを探す。
いやっ、これは別に違うから。違うからね、別にハマっちゃったとかそういう訳じゃなくて。
ただ――――おしゃぶりってすごく心がほわほわするちゅぱちゅぱちゅぱちゅぱ。
[ コメント ]
・もう自ら吸いに行ってるよ、この堕天使
・おしゃぶり好きね~~~レヴィアちゃん
・普通にハマってない? これ
・1歳だからそろそろ卒業しないと
・でもおしゃぶり嵌めると、マジプレイ上手くなるんだよな
・初見の筈なのに、ステージのギミックを利用してショートカットしてたからな
・おしゃぶり覚醒
・良い魅せプでした
・ゲームでも赤ちゃんでも魅せてくれる、堕天使最高かよ
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