第30話 ゆるしてパパごめんなさい(はむはむマイクはむはむはむ)
前回までのあらすじ(現実逃避)。
流れ掴んでると思ってたら、流れ変えられた。
「ぇ、まっ……耳はむはむって何⁉ 一体何をするんじゃ⁉ 」
というかどうすれば良いの⁉
[ コメント ]
・南:どうしたんだい、レヴィア
・MINAMI:いつもやってくれてるじゃないか
・ミナーミ:ほら、口の中の音を聞かせてくれたまえ
・ミナミミン:舌も動かして。甘噛みでプリーズ
ひょえぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!
身の毛もよだつ体験なんて初めて。いやまってホントに産毛逆立ってる鳥肌立ってる! 気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪いキモチワルイヨォオオオオオオオオオオ!!!!
「わ、分かんないパパ! わたしホントに分かんないのぉ! はむはむって具体的にどうすればい」
[ コメント ]
・食べるんだよ、マイク
・はむはむって
・マイク咥えて
・大きい(?)から気を付けて
・よだれつかないようにね、がんばるんだよ
―――――マイク・タベルンダヨ・ハムハム?
呆然と目を点にして、私の脳内に英語圏の人名が流れる。
いや、違う。
これは……眷属達の希望。
リスナーからのリクエストだ。
「は……はむはむって……ぇ? マイク食べ、え?」
こ、これ――――食べるの?
震える手つきでスタンドに立てたマイクを手に取る。カラオケ屋さんにあるような、普通のマイク。
黒くて、長くて、先っぽが大きい――――マイク。
ぱくぱくと、マイクに唇を這わせようとして……ゴトンとスタンドに戻す。
「ご、ごめっ、なさっ……! ごめんなさっ、い! わたっ、わたしが悪かったから」
[ コメント ]
・どうして謝るの?
・悪いのはパパ達さ
・ごめんね、レヴィアたん
・ごめん
・ごめんね
・だから
・早くしよ
・仲直り、しよっ
・はむはむしよ
・マイク食べて
・パパの耳、舐めて
・だから……
・ぁくしろよ
うぇぇぇえええええええええーーーーーん!!!!!!
逃れられない。
空気が、コメント欄の流れが、許してくれない。
顔が熱い、もぉやだ、なんでこんなことに……私はそろそろとスタンドに再度手を伸ばそうとして
後ろから伸びた手が、私より先にマイクを奪った。
「あっ!」
希望の花が咲く。
花のような笑顔の、妹が……伽夜ちゃんがマイクを手に取っていた。
ありがと伽夜ちゃぁぁーーーーーーん!!!!! わたし、わたしもうあとちょっとでマイク食べ。
――――かさりと、マイクの先っぽにビニールを被せた。
『よだれがつかないようにね』
器用にカンペに文字を書いていく伽夜ちゃん……かや、ちゃ。
『あたしさぁ、言ったよね?』
パシンとマジックでカンペを叩く。
『清楚になろうって言ったよね?』
グルグルと、清楚という文字を丸で囲う。
「ま、まって……ご、ごめんって! ごめんってばンムグゥ⁉」
唇に、固い感触を押し付けられる。
くぱっとこじ開けられて、私はマイクの先っぽを食む。
あむあむと……あむあむと……。
[ コメント ]
・あぁーーーーーーーーーーー幸せぇえええええええええええ‼
・ちゅぱってなっとるちゅぱっとなっとる!
・はむはむ助かるたすか、アッ
・ふぅ
・しゅきしゅきしゅきしゅき
・天使(お迎え)来ちゃウッ!
・昇天した
・パパが空に昇ってく……
・天使さん、こっちです!
・ぁれ?
・なんか、だんだん音が色っぽく……
・ノリノリになってない?
・てめぇがエッチじゃねぇか!
・エロガキがぁ!
3分後。
汚れたビニール袋を捨てて、スタンドにマイクを戻して、私は雑談に戻った。
「妾、本日、天界学校で友だ……ご友人ができましたの。とても破天荒ですが、妾のこととても大切に想って頂いているお方なのですわ」
[なんで急にお嬢様口調?][その流れは無理がある]というコメントを無視して、私は清楚を心掛ける。
うふふ清楚あはは清楚、私は清楚ですわ。
「友情を結んだ印に抱擁を交わしたのですが、何故か小刻みに動いたり、上下に揺れたり……でも妾にとっては、初めての友人ですわ。きっと他意は無いですわ」
[ コメント ]
・パイチェックですね
・感触を味わおうとしてるね
・それ本当に友達?
・友達できたね~えらいね~
・初チャットです。あたしも最近ずっと気になってた子と友達になれました。奇遇ですね
・取って付けたお嬢様
・清楚だなぁ(遠い目)
・いった
――――いった?
流れるコメントの一つに、さっきみたいな違和感を覚えた。事実、そこからコメント欄の流れはまた変わった。
・10万人だ
・10万人おめでとう!!!
・まじでおめでとう~~~
・マイク食べてたら10万人超えた女
・この瞬間に立ち会えて光栄です
・おめでとぉお~~~~
・お祝いにマイクもう一本食べよう
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