第13話 校舎裏 (アカシア)
私は、放課後カリンさんを校舎裏に呼び出しました。
魔術の授業中の続きを話すためです。
「聞きたいことは、なぜ婚約破棄宣言をしたか、だったかしら?」
「巻き込まれた私には、聞く権利があると思います!」
「そうね。この際はっきり言っておくわね。あなたが私に罪を着せて陥れようと計画しているのはわかっているの。結局ばれてウォールと一緒に投獄されることになるから、止めておきなさい!」
「ちょっと待ってください。私そんな計画なんてしていません!」
「とぼけなくていいのよ。私は全てを知っているのですから」
「とぼけてなんていません。言いがかりはやめてください!」
「そうなの? それなら、これから計画すると思うけど、私はもう、その計画を知っているのだから諦めてやめておきなさい。それがあなた自身のためでもあるのよ」
「これから計画? そういえば、パーティーの時も、これから浮気をするから、と言ってましたね。もしかして、予知魔法が使えるのですか?」
「予知魔法? そんな魔法聞いたことありませんが?」
「でも、今の話だと、未来を知っているように聞こえますが?」
「そうね。詳しくは教えられないけれど、魔法ではない方法で、私は未来を知っているのよ」
「……。アカシア様も転生者なのですか? それで、このゲームを前世でやったことがあるとか?」
「私が転生者? 違いますけど」
ゲームとは、なんのことでしょう?
それに、アカシア様も、と言いました。も、ということは、カリンさんは転生者なのでしょうか?
転生者とは、予言の書に出てきた転生者ですよね?
「違うのですか? でも、転生者という言葉に驚かないのですね。……黒髪に黒い瞳。転移か、召喚の方ですか?」
「私は、普通にこの世界で生まれましたけど――」
「なんだ。勇者か聖女かと思いましたが違うのですか――」
カリンさんは、なんだか、非常に残念そうにしています。
勇者や聖女に憧れがあるのでしょうか?
「私の祖母は聖女と呼ばれていましたが!」
少し優越感に浸りたくなって、自慢げにドヤ顔でお婆様のことを教えます。
「え? とすると、転移者の子孫パターンですか!」
「え? カリンさんは、お婆様が転移者だったと言いたいの?」
「違うのですか?」
「どうでしょう?」
お婆様が転生者かどうかなんて、今まで聞いたことも、考えたこともありませんでしたわ。
ですが、そう言われれば、お婆様がどこの生まれか知りませんわ。
聖女だったから、教会出身だとは知っていましたが、どこで生まれたかまでは知りません。
孤児だったとすると転移者の可能性があります。
転移者の子孫が出てくる予言の書もあった筈です。どんな内容だったでしょうか? すぐには思い出せません。
「兎に角、私を陥れようとしても無駄ですから諦めなさい!」
「私が諦めたと言えばそれで済むのですか?」
「それは……、わかりませんね。……やはり、念のためウォールとも婚約破棄しておきましょう」
「それではウォール様が可哀想ではないですか?」
「やはり、あなたウォールに気があるのですね!」
私は疑いの目でカリンさんを睨みつけます。
「違います! すみません、すみません。そんな気はありません」
カリンさんは、授業の時のように、また、深々とペコペコ何度も頭を下げて謝罪します。
どうも、カリンさんはこの謝り方が癖のようですが、はたから見ていると、こちらが虐めているように見えて良くありませんね。
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