DAY2 ブラックギルドマネージャーの癒し
「にしし~、なんかいい匂い~ホットチョコレートかな?」
アルフェンニララ……アルは紙袋から漂う甘い匂いに気づいたようだ。
「約束を破ってしまったからな……お土産だよ」
「やたっ! クレイ大好きっ!」
紙袋を手渡すと、紙コップに入ったたっぷりのホットチョコレートをパンに付け、美味しそうに頬張り始める。
青を基調にし、所々桃色のメッシュが入った美しい髪は彼女の動きに合わせてふわふわと広がる。
柔らかそうな頬にルビーのように赤い大きな瞳。
すらりとした体躯を、少し大胆に胸元が開いた白いフリル付きの上着と、紅色のエプロンスカートが彩っている。
何より彼女を特徴づけるのは、モフモフの犬耳とシュッと伸びた黒い尻尾で……。
獣人族と見まごうばかりの愛らしい容姿だが、彼女の正体は
ひょんなことから私と一緒に住むことになった魔族の少女である。
男の精を吸い尽くすだの、百人の男妾を持ち一つの村を滅ぼしただの……恐ろしい伝承ばかり聞こえてくるのだが、こうして目の前にしてみると、一途な可愛い女の子である。
とある”きっかけ”により、彼女は私をとても慕ってくれている。
「ふふっ、今日もかわいいな、アル……」
「えへへ~」
仕事の疲れが溶け消えていくようだ。
優しく頭を撫でてやると、彼女は頬を染めてくすぐったそうにする。
……まあ、彼女の種族的にこれだけでは終わらないのだが。
「ね、クレイ……今日も、
上目づかいで見つめる愛らしくも蠱惑的な瞳に、逆らう術を持たない私なのだった。
*** ***
「ふうっ~、ごちそうさまっ!」
「今日は、”25ザーマ”だねっ」
アルとの睦みを終え、ベッドの上で大きく伸びをする。
そう、彼女はサキュバスなので、定期的な”補給”を必要とする。
とはいっても、書物に出てくるようなドロドロ生々しいヤツではなく、
ひたすらに愛しくて気持ちいい……仕事の疲れが吹き飛ぶ最高の瞬間だ。
アルは紫色に光る”精気の固まり”を飲み込むと、満足そうな笑みを浮かべる。
「はいっ! 今日のマジックアイテムっ!」
アルは手のひらに残った精気をコネコネすると、1つのオーブを私に手渡す。
余った精気に魔力を加えて加工しているとのことだが……人間の魔法技術とはかけ離れていて、何が行われているのか見当もつかない。
幸せのおすそ分けっ! とはアルの話だが、このオーブ、様々な効果を持つマジックアイテムであり、私の仕事を助けてくれる。
「今日はきれいなオレンジ色だね……ありがとう、アル」
「どういたしましてっ! クレイの精気はとっても純粋だから、きれいなのができるんだよ!」
楽しそうに笑うアルが可愛くて、思わず頭を撫でまくってしまう。
「には~っ♪」
明日は休みだ……アルと遊びに行く場所を思い浮かべながら、モフモフな彼女を抱いて、幸せな眠りに落ちるのだった。
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