第14話 美少女。
目に映るのは可愛らしいポーチやお財布。そして髪飾りやブローチ。ちょうど目の高さの棚に並んでいる。
お値段もそこまで高くは無い、かなぁ。
壁には色とりどりのお洋服が飾ってあるし若い女性に人気があるのもうなづける。
かわいいなぁとピンクなリボンの髪飾りをじっと見つめているあたしに店員さんが声をかけてきた。
「あらあらかわいらしいお嬢様。こちらのリボンの髪飾りがお気に召しました? よろしければつけてみてくださいな」
そうリボンを取ってあたしの頭にあてる。
あちらこちらに鏡が置いてあってそれを指し示し。
「お似合いですわ」
と、そう微笑んで。
はうあう。あたし男の子なんだけどと喉元まで出かかったけど飲み込んで。
鏡に映ったリボンをつけたあたしはほんとう可愛いらしい少女のように見えて。
あうあう。これはこれでなんだか。
にっこりと笑顔をつくるとますます美少女に見える。
なんだか気持ちが高揚してきたところで、
「こちらのお洋服もお似合いになると思いますわ。どうかご試着してみてくださいな」
と、胸元にフリフリのワンピースがあてられた。色は白が基調でピンクのフリルがあしらってある可愛いデザイン。
流石にちょっと、と思ってエオリアに助けを求めるように振り返ると、エオリアも頬を蒸気させてあたしを見てる。
はうあう。ちょっと、エオリア?
半ば強引に手をひかれ試着室に連れていかれたあたし。うながされるまま可愛いお洋服を何着か試着して。
その都度「お似合いですわ」っていう店員さんと「可愛らしいです。イリスさま」っていうエオリア。
っていうかエオリア? 普段ぼっちゃまって呼ぶのに今日はイリスさまなの? って、もしかしてこの状況を楽しんでる?
うきゅう。
結局三着ほど女の子用のお洋服を買ってしまった。あ、最初のリボンの髪飾りもね?
「せっかくだから今日はこのまま街を散策しましょう」
と、あたしの手を引くエオリア。
うきゅう。
あたしはといえば。
もともと白銀の髪をショートボブにしていたあたし。サラサラのその髪に大きめなピンクのフリフリのリボンの髪飾りをつけて。
お洋服は白にピンクなフリルがあしらったAラインのワンピース。
足元は白いハイソックスを履いて。
はうう。
おまけにそこに黒クマぬいのデルタを抱いてるもんだか、もう完全に美少女の出来上がり、だ。
でも。
たまにはこういうのも悪く無いかなぁって思って手を引かれるまま歩いていた。エオリアも喜んでるみたいだし、ね。ほんとまあいっか。
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