第7話 悪魔大典。
「悪魔、悪魔っと」
黒っぽい表紙の本にそんな表記が見えた。っていうかこれはかなり古い本かな。文字が今の文字よりも神の文字に近い。
埃の被ったその本を取り出してパンパンと払うとカーテンから漏れる陽にあたってチラチラと光が舞う。
あたしは少しむせて咳き込むと、手にしたその本をあらためて見返した。
黒い皮の表紙に金色の文字が浮かぶ。「悪魔大典」そう読めるその本を開くとそこには見覚えのない魔法陣が記されていた。
下に文字も書いてあるけれどちょっと解読に時間がかかりそう、と思ったあたしは部屋を見渡し。
読書用に用意された机と椅子。この部屋の窓際に設られたそこに移動したあたしはその皮張りの椅子に腰掛けて目の前の机に本を置いた。
やっぱりこんな本を発見すると少し興奮するな。そう思いながら乾いた喉を潤すために自分の
さっと洗浄魔法をかけるとそこに茶葉を入れお湯を注ぐ。
まあこれくらいは全部魔法で出来るから。
っていうか人の
インナースペース。内なる宇宙。
精神的な比喩ではない。
たとえば自分の心の奥深くに潜っていくとたどり着くそこ、それがその場所。
マナで構成されたその空間。それが
前世の記憶が戻った当時、心の奥に潜って見えざる手をそこから伸ばしゲートから外に出す事ができた時、ああ、もしかしてこれって外の世界のものを取り込むことも出来るんじゃ無いかって思いついてやってみたのが最初。
まああっさりできたわけだけど。
これがよくラノベであった収納魔法の原理なのかと納得したあたし。
それ以来いろんなものを入れてみて実験した。これがほんと結構大きいものでも簡単に収納できる。食べ物なんかも腐ったりもしないで入れた状態でそのまま出す事が可能。割と万能な能力じゃない? これ。
まだ生き物を入れたことはないんだけどね。万が一にも命を奪ってしまったら嫌だから、さ。
良い感じに茶葉が開いたところで一口飲んで。うん。美味しい。
乾燥させたリンゴの粉と紅茶の茶葉をミックスしたあたしのオリジナル。ちゃんとティーポットも使うべきだったかなぁと少しだけ後悔してそれでも喉を潤せたからまあいいかと満足。
そしてあたしはその本の表紙をあらためてめくると、魔法陣の下に書かれた文字に目を留めた。
暗号の様にも見えるその文字を読み取っていくと。
「この本に魔王を封印する」
そこにはそう書かれて居たのだった。
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