優しい世界

 主人公の水嶌奏は、夢の中で別世界の侯爵令嬢リディアと接触。ひとつのお願いをされる。

「冷徹王子と呼ばれる第一王子と婚約するのだけれど、その前に自由な生活がしてみたい。だから一年でいい、入れ替わってほしい」と。

 リディアの願いを聞き入れた奏は、それから一年間、王子の婚約者として入れ替わり生活に突入する!

 転生や転移ではなく、魂の入れ替わりというのが新しいな、と思いました。
 さて、侯爵令嬢として、次期王妃としての生活をスタートさせた奏ですが、そこはそれ、中身が庶民なので令嬢らしからぬ行動で様々なトラブルを引き起こしてしまうのです。
 しかし、そんな奏の行動に周囲の人のリディアを見る目は変わり、冷徹王子と言われた第一王子も興味を持ち始めます。そして王子との距離が縮まり、冷徹と言われた彼の本当の姿を知るにつれ、奏は徐々に王子に惹かれていきます。だけど奏は一年後には元の世界に戻らねばならない。その葛藤に苦しむ部分がこの作品の肝でしょう。
 一体、どんな結末を迎えるのか、それは読んでのお楽しみです。私は「そうきたかーっ」と叫びましたねw

 あと、この作品を読むにあたって注意点が一つ。令嬢物によくある、貴族階級のお決まり、
「婚約者がいる者は婚約者以外の異性と二人きりになるべきではない」
「当人の許可なく、異性にみだりに触れるべきではない」
「貴族間でも、目上の者が名乗ってはじめて、下の者は名乗れる」
 というようなものが、この作品には当てはまりません。そのあたりは結構ゆるい世界なのです。
 ですので、奏の令嬢らしからぬ行動も皆が笑って許してくれますし、異性との接触も割と多いです。少女漫画のラブコメに近いですかね。
 なので、その辺りを割り切ってくださいねw