第9話


「ほら、狩ってきたぞ。ストーン・ドラゴン。こっちが角でこっちが牙だ。これで満足か?」


夕刻。


アルトリア家屋敷の応接室にて。


俺は狩ってきたストーン・ドラゴンの角と牙をカイルに差し出した。


「ほ、本当に…?」


カイルが恐る恐るといった感じでストーン・ドラゴンの素材を手に取る。


信じられないと言った表情で、素材を眺め、確認している。


「正真正銘本物だ。これで約束通り俺を騎士にしてくれるんだろ?それともなんだ?またいちゃもんをつけて言い逃れする気なのか?」


「…」


カイルはじっとストーン・ドラゴンの素材を見つめている。


「お父様。アルト様は今度こそ実力を証明しました。さあ、約束を果たすときです」


傍で見守っていたニーナが念を押すようにカイルに言った。


カイルがゆっくりと顔を上げて、俺を見た。


「ああ…どうやら認めざるを得ないようだな。アルト。お前の実力が本物であると」


「…!それじゃあ、俺は…」


「ああ。君を騎士としてこの屋敷で雇う。これからよろしく頼む」


「…!はい、よろしくお願いします」


差し出されるカイルの手を握る。


「やりましたね、アルト様!!」


感極まったニーナが抱きついてきた。


そうして今度こそ俺はアルトリア家の騎士となった。


もう手のひら返しはないと信じたい。





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