第18話 攻略報酬

 俺はヒポポダーマの屋敷から外を見た。

 少し離れた所に王都が見える。


風乗り剣サーフソード!」


 魔剣の上に乗り空を飛ぶ。


「ヒポポ! お前の巨体を王都に入れたんじゃパニックになってしまうからな。悪いがこの森で待機してくれ」


『主よ。できれば離れたくないのだが?』


 うーーん。そう言われてもな……。

 そうだ!


「亜空間に入ってくれるならいつでも一緒に行動できるが? それでもいいか?」


『主と一緒ならなんでも良い』


「よし。 収納斬ストレイジスラッシュ!」


 俺は魔剣で大きく空間を斬った。

 その斬り筋は30メートルを超える。


「中は亜空間になっている。必要な時に呼び出すから、この中に入っていてくれ」


『承知した』


 俺はヒポポを収納すると 風乗り剣サーフソードを使って王都へと飛んだ。


「行くぞラルゥ!」


『はい! ご主人様!!』



 銀行が開くまではまだ余裕がある。

 まずはギルドでダンジョンを攻略した申請をしよう。



◇◇◇◇



ーー王都コルトベルラーー


 そういえば剣をしまう鞘が無かったな。

 剣を裸でギルドに入るのはまずい。


「ラルゥ。すまないが人化してくれ」


「承知しました。 女人化ガール!」


ボンッ!


 魔剣が煙に包まれると、中から美少女が現れた。


「これでよろしいでしょうか?」


「ああ。じゃあ一緒にギルドに行こう」


「あは! 2人で街を歩くなんて素敵ですね!」


 ラルゥは俺の腕を抱き締めた。


「えへへ。ご主人様ぁあ」


「おいおい」


「人間っていいですね」


 うーーん。まぁ、いっか。


「ギルドに入るまでだぞ」


「はい!」


 あれ……?

 気のせいか、街人からの視線が痛いな。


「はぁ……可愛い……」

「くそ……いいなぁ……」

「どちゃくそ美少女やんけ!」

「う、羨ましいぜ!!」


 などとボソボソと聞こえてくる。


 うーーむ。もう慣れてしまったが、たしかにラルゥは美少女だからな。

 こうなるのは当然か。

 流石に腕を組んで歩くのは目立ち過ぎるよな。



「ごっ主人様ぁあ。うっふふ!」



 えらく上機嫌だな。

 まぁ、ギルドまでだし、仕方ないか。




◇◇◇◇




ーー青のギルドーー


 酒場は朝から大賑わいである。

 冒険者は明るい時間から活動的なのだ。


 俺が中に入るとどよめきが起こった。


「おい、見ろよ。あいつはデオックのパーティーにいた剣士じゃねぇか?」

「たしか、ゼロとか言ったよな。死んだんじゃなかったのか??」

「なんか、めっちゃ美少女を仲間にしているんだが??」

「あの子誰だ?? あんな可愛い子はコルトベルラにいなかったぞ??」


 やれやれ。

 まぁ、俺は死んだことになっているからな。

 噂されるのは仕方ないか。


 こいつらの中にデオック達は見当たらないな。

 とりあえず 火馬かばのダンジョンを攻略した申請をしようか。


 俺は受付に行った。

 そこは人目につかず、ギルドでもひっそりとした場所である。


「ゼロさん!! 生きていたんですね!!」


 受付嬢はカウンターから前のめりに飛び出した。


「ああ、なんとかな。危ない所だったが、どうにかダンジョンを攻略したよ」


「え? デオックさん達は先に帰ってましたけど??」


「もうあいつらとは縁を切った。俺は単独で攻略したんだ」


「ええええッ!! S級ダンジョンをたった1人で攻略しちゃったんですか!?」


 受付嬢はダンジョ配置図を覗き込む。

 それは魔法紙でできた特殊な地図で、ダンジョンの位置が青い炎で記されている。


「あ、本当だ!  火馬かばのダンジョンが消えてる!!」


 受付嬢は額の汗を拭いた。


「た、単独でS級ダンジョンを攻略するなんて聞いたことがありませんよ。凄いですねゼロさん」


「いや、まぁ大したことないよ」


「ははは……。大したことありますって……。歴史的快挙ですよ。」


「そんなことより、俺は生きているからな。死亡届けは却下してくれよ」


「そ、それは勿論ですが、ダンジョン攻略の報酬がありますよ?」


「いくらだ?」


「500万エーンです」


 うおお! す、凄い金額だ。


「銀行振り込みになりますが、よろしいでしょうか?」


「現金じゃないのか?」


「A級ダンジョンまでは現金ですけどね。S級ダンジョンともなると高額ですから、振り込みにさせてもらっています」


 このままだと、奪われた預金通帳に振り込まれてしまうな。

 そうなると、新しい通帳を作るのが得策なのか……。

 しかし、まぁ……。確実に奪い返すからな。このままでいっか。


「よし。じゃあ。振り込みで頼む」


「承知しました。それで……あの……ゼロさん」


 受付嬢は顔を赤らめる。


「お、お帰りなさい」


 ん? なんで赤いんだ??


「……あ、ああ。ただいま」


「い、生きてて本当に良かったです」


「……ああ、ありがとう」


 このやりとりを見ていたラルゥはほっぺたを膨らませた。


「ご主人様! ニヤニヤしてますよ! ぷぅ〜〜!!」


「え? いや、笑ってはいないが??」


「あの人、ちょっと馴れ馴れしいです!!」


「え……。そうか?? 普通の受付嬢だぞ?」


「んもう!! ラルゥは心配です!!」


「なんの話だよ」


「んもうッ! ご主人様ったら!!」


 そう言って俺の腕を抱き締めた。


 おいおい。ギルドでくっつくのは遠慮してくれよ……。


 俺はラルゥを優しく離して、話題を変えた。


「次は換金所で魔硝石を金に換えようか」


「はい! いくらになるか楽しみですね!!」




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武器:魔剣ラルゥ。


魔剣レベル:12。


魔剣スキル:

炎攻撃剣ファイヤーブレード 水攻撃剣アクアブレード 女人化ガール 鑑定剣ジャッジメントソード 小回復剣リトルライフソード 照明剣フラッシュソード 収納斬ストレイジスラッシュ 地図剣マップソード 風攻撃剣ウインドブレード 刃防御エッジディフェンス 風乗り剣サーフソード 剣印ソードスタンプ


住居:ヒポポダーマの屋敷。


従獣:ヒポポダーマ。


アイテム:魔硝石314個。金銀財宝多数。


ラルゥの好感度:♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡




貯金:0エーン

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