第17話 ダンジョン攻略
この攻撃が厄介なんだよな。避けていると中々攻撃に移れない。
『ご主人様!
「よし! やり方を教えてくれ!」
『敵の攻撃が当たる瞬間、魔剣の剣身でそれを受け止めるように一瞬だけ前に押してください』
「魔剣の剣身を敵の攻撃に当てる感じか?」
『そうです。押す動作が重要ですので、魔剣を垂直に立てて顔の前に剣身がくるようにするとやりやすいですよ。その動作が決まれば敵の攻撃を完全に無効化できます。自動的にいつでもどこでも発動可能ですよ』
よおし。やってみよう!!
俺は魔剣を垂直に立てて構えた。
ボボボボボボボボボボボボボボボンッ!!
一撃でも喰らえば焼け死んでしまうだろう。
『ご主人様、今です!!』
俺は火球が当たる直前、それを受け止めるようにほんの少し剣を押した。
カツーーーーーーーン!!
ん? なんか気持ちいい音が鳴ったが?
『ご主人様!
「よし! わかった!!」
カツーーーーーーーン!!
カツーーーーーーーン!!
カツーーーーーーーン!!
カツーーーーーーーン!!
『5ガード!! 成功です!』
即死攻撃が余裕で防げる!!
しかも成功するとめちゃくちゃ気持ちいいぞ!!
「こりゃいい! 火球を真正面から受けられるな!」
『でも油断しちゃダメですよ!!』
「え?」
スカッ!!
あ、しまった。
押すのが少し早かった。
ボンッ!!
火球をモロに喰らう。
「あちぃいいいいいいいいいッ!! ア、
バシャーーーーーーーーン!!
咄嗟に水を出して消火。
「ふぃいい。大火傷するところだった……」
『だ、大丈夫ですか、ご主人様ぁあ!?』
「ははは。ちょっと油断した」
『んもう、心配しましたよ!
「そうみたいだな。まぁ油断しなければ──」
再び
ボボボボボボボボボボボボボボボンッ!!
カツーーーーーーーン!!
カツーーーーーーーン!!
カツーーーーーーーン!!
カツーーーーーーーン!!
タイミングを合わせて、剣身を前へ押す。
カツーーーーーーーン!!
カツーーーーーーーン!!
カツーーーーーーーン!!
カツーーーーーーーン!!
『凄い! 8ガード!! 成功です!!』
「ま、余裕でしょう! んじゃあ。次のスキルいってみましょうか!」
ラルゥは俺の手から離れて眼前で宙に浮いた。その姿勢は水平を保つ。
『この上に乗ってください! これが
なるほどね!
なんとなくわかった!!
俺が両足を剣身に乗せると凄まじい速度で空を飛んだ。
ギュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウンッ!!
「おお! 速ええ!!」
『ご主人様の思っている通りに空を飛べますよ。自由に使ってください!」
「よおおし! だったら向かうところは一つ!! ボスの球体だぁああ!!」
「かしこまりました!!」
ギュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウンッ!!
慌てて火球を鼻から出し、口からは津波のような炎を吐いた。
ボボボボボンッ! ボワァアアアアアアアアアアアアアッ!!
「余裕だ!」
追い討ちのように襲ってくる火球。
よおし、
タイミングを合わせて剣身を前へ押す!
カツーーーーーーーン!!
カツーーーーーーーン!!
カツーーーーーーーン!!
カツーーーーーーーン!!
『4ガード!! 成功です!!』
瞬く間に地上より30メートルの高さにあったボスの球体の前へと到達した。
「これで、ダンジョン……攻略だ!」
大きく振りかぶった魔剣を全力で振り下ろした。
「うっらぁあああああああああッ!!」
ザンッ!!
ボスの球体を真っ二つ。
『ギャォオオオオオオオオオオオンッ!!』
同時にダンジョン全体が揺れ始めた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!
『こ、これは!? 地震ですか、ご主人様!?』
「ダンジョンが消えるのさ」
揺れは更に勢いを増す。
俺達は崩れるダンジョンに飲み込まれた。
◇◇◇◇
ーー地上ーー
俺は朝日を浴びて立っていた。
「なんか、太陽が眩しいや」
『あれれ!? ダンジョンが消えちゃいましたよ!?』
「ダンジョンボスを倒したからな。ダンジョンを形成している力が消滅して無くなったのさ」
『なるほど……。あ!! 今、ボス討伐の経験値とダンジョン攻略の経験値が一気に入りましたよ!』
やった! ラッキー!!
『てれてれってれーー!! れべるあーーっぷ!!』
うお! レベルアップキターー!
『レベル12になりました。スキル
なんだろう??
『このスキルは、ポンメル部分の刻印を対象に押すことで相手の動きを止めることができるんです』
「ポンメルってなんだ?」
『ポンメルとは剣のグリップ部分の先端にある
見ると、刻印が刻まれていた。
「これを対象に押せば動きを止まられる訳だな。素早い敵には有効かもな!」
『そうですね。もう倒しちゃいましたがメタルリザードなんかには確実に有効だったと思います』
「ははは! 倒してから会得するなんて宝の持ち腐れかもな」
『えへへ。ちょっとタイミング悪かったかもですね。すいません』
「あやまんなくてもいいよ。スキルの選択は俺の素質によるんだからな。それにさ、この攻略ができたのはラルゥのおかげなんだよ。お前は大活躍だったよ。あんがとな!」
『……ご主人様。優しいです。魔剣を使いこなすご主人様が凄すぎるだけですよ』
「2人で賞賛し合っちゃったな! ははは!!」
『うふふ! 本当、なんだかおかしいです!』
突然大きな地響きが起こる。
ズゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!!
「な、なんだ!?」
眼前の地面は大きく隆起。土が落ちると中から
その高さ30メートル。
『ダンジョンボスですよ、ご主人様! 倒したはずなのに!?』
『我の名はヒポポダーマ。カバの神である』
カバの神!? てか喋れるのかこいつ!?
『我は魔王に捕らえられ、100年の間、ダンジョンボスとして操られていた』
「ああ、なるほど。あのボスの球体がそれだったんだな」
『そうだ。あの球体に我は操られていた』
「そっか! 良かったな、解き放たれて!!」
『うむ。そなたのおかげだ』
「あーー。あはは。まぁ、たまたまだよ。俺はダンジョンを攻略したかっただけだしな」
『礼がしたい』
「え? あ、いや……。気を使うな。そんなつもりじゃなかったからな。お前は自分の世界に帰れよ」
『まぁ、そういうな。そなたの偉業には感謝してもしきれぬ』
偉業ってほどでもないがな……。
ヒポポダーマは大きな口を開けた。
『そなたに快適な住まいを与えよう』
口の中には立派な屋敷が建っていた。
どういう仕組みなんだ?
3階建ての綺麗な屋敷が舌の上に建ってるぞ??
◇◇◇◇
ーーヒポポダーマの屋敷ーー
俺は断ったのだが、どうしても、と聞かないので、屋敷の中に入ってみることにした。
ラルゥは美少女となり、屋敷の器具を使って紅茶を入れてくれた。
「ご主人様。このお屋敷は快適ですよ」
「確かにな。ソファーもフカフカで貴族が住む屋敷みたいだよ」
でもいいのかな? 少し気が引けるな。
屋敷内に声が響く。
『主よ。我に冒険の手伝いをさせてくれ』
「そう言われてもな……」
『100年もダンジョンに閉じ込めれていたのだ。地上で動ける幸せを実感したい』
「それは一人でもできるじゃないか」
『主の礼も兼ねておる』
俺が腕を組んでいると、ラルゥは笑みを見せた。
「いいじゃないですかご主人様。呪いを解いたのはご主人様のお力です。ヒポポさんが気の済むまでこの屋敷で暮らしましょうよ」
ヒポポさんねぇ……。
『主……。迷惑か?』
「いや、そんなんじゃないけどな。でもいいのか、冒険の手伝いなんて? お前はカバの神様なんだろ?」
『カバの神は恩義を忘れぬ。呪いを解いてくれたこと。主の子々孫々まで感謝しよう』
やれやれ。そこまで言われては仕方ないか。
「この屋敷って移動できるのか?」
『屋敷は我の口の中にある。我が歩けば時速60キロで移動が可能だ』
「おお! 結構速いな!」
『どこに行けばよい。主よ?』
銀行が開くのが今日の10時だ。
今からいけば余裕で間に合うぞ。
「それじゃあヒポポ! 王都コルトベルラに向かってくれ!」
『了解した!』
ヒポポダーマは大きな四肢を動かして歩き出した。
ズシーーーーーーン!
ズシーーーーーーン!
さぁ、首を洗って待ってろよぉおデオックゥウウウウ!!
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武器:魔剣ラルゥ。
魔剣レベル:12。
魔剣スキル:
住居:ヒポポダーマの屋敷。
従獣:ヒポポダーマ。
アイテム:魔硝石314個。金銀財宝多数。
ラルゥの好感度:♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
貯金:0エーン。
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