第14話 ダンジョン5日から6日目


〜〜ゼロ視点〜〜


 ダンジョン5日目。


「だぁああああああああ!!」


 俺は魔剣を大きく空振っていた。


「クソォオ!! まただぁああ!!」


 剣の先にはトカゲのモンスター、メタルリザードが真っ赤な舌をチョロチョロとさせる。


「こいつ、速すぎて全然攻撃が当たらない!!」


 舌を出すのが舐められてるみたいで少し腹が立つんだよな。


『ギュィイ!』


  炎攻撃剣ファイヤーブレード 水攻撃剣アクアブレードも効かないし。

 物理で殴るしかないけど、俺が近づくと凄まじい速度で離れる。俺の行動を予測してる感じがする。おそらく俺の出す殺気を感じているのだろう。


 そうなると殺気を消さなければいけないのかぁ……。

 メタルリザードはメタルタートルの10倍も経験値を持っているんだ。ギラついてしまうのは仕方ないよな。


『ご主人様、無心です! 無心で攻撃するしかありませんよ』


「よーーし。無心……無心……無の心……」



ドンッ!!



「痛ぁッ!!」



 俺は地面に倒れ込む。

 背後にはメタルタートルがチョロチョロと舌を出して笑っていた。

 こいつの頭突きを喰らったのである。


「こんの!!」



ブゥウウン!!



 魔剣の斬撃はまたも空を斬る。


「やっぱりダメか!」


 隙を見せたら頭突きをして来るし、そのくせ、一定の距離から離れようとしない。かなり面倒な敵である。


「こうなったら次のスキルにかけるしかないか。なにかあいつを倒せるようなスキルに期待しよう」


『でも、頭突きの攻撃が心配ですねぇ』


「なーーに。睨んでいれさえすれば怖がって近づいてこないんだ」


ギロリ。


 俺が睨みつけるとメタルリザードは飛び上がって壁に隠れた。


「ふふ……。俺が寝ているあいだはラルゥが睨んでいてくれ。そのうち倒せるようになるさ」


「はい! お任せください。一生懸命睨みますよ。むむ!」

 

 今は22階。最下層の30階まであと8階だ。






◇◇◇◇






──ダンジョン6日目。

 タイムリミットの1週間まであと1日である。


 明日になれば俺の死亡はギルドに認定されて、奪われた預金通帳は使われてしまう。

 お金を奪ったデオック達は俺の妹を襲おうとするだろう。

 絶対にそんなことは阻止しなければならない。

 そして、俺を殺そうとしたあいつらを……必ず……。ぶっ飛ばしてやる!!



ーー火馬のダンジョン 28階ーー



  地図剣マップソードの活用でダンジョンの進行はサクサク快適に進んでいた。



炎攻撃剣ファイヤーブレード!! うらぁああああああああああッ!!」



ザシュッ!!



 スーパーオークを撃破。



『てれてれってれーー!! れべるあーーっぷ!!』



 よし! 待ってました!!

 メタルリザードを倒せるスキル来い!!



『レベル9になりました。スキル  風攻撃剣ウインドブレード を取得しました』



 だぁあああああ。ここにきて風攻撃かぁああああああ。

 絶対通じないやつーー!


 俺の背後にスーパーオークの残党が襲いかかる。


風攻撃剣ウインドブレード


 魔剣を振ると、その剣身から強風が吹き出してオークどもを10メートル離れた壁へと衝突させた。


 そのままそいつらを一掃する。



ザンッ!!



「うーーん。この程度のモンスターなら風攻撃も便利なんだがなぁ」



 俺の背後にはメタルリザードがいて頭突きの準備をしていた。

 さきほどの 風攻撃剣ウインドブレードにびくともしない。


「やれやれ。風攻撃は効かないか……」


ギロリ!


 睨みつけると物陰に隠れる。

 


「うーーん。しょぼいんだが強敵なんだがわからん敵だなぁ」


『ご主人様ぁ。お役に立てなくて申し訳ありません〜〜。ううーー』


「いや。お前は十分助かってるよ。泣かないでくれ」


『うう……。ご主人様、優しいですぅうう』


「まぁ、ここに来るまでにお宝は更に増えたし。魔剣のレベルも上がったしな。問題はあいつだけなんだ」


 仕方ない。次のスキルに賭けるしかないか。





◇◇◇◇




ーー火馬のダンジョン。最下層30階ーー


 俺の眼前には立派な門が立ち塞がる。


 おいおい。レベルアップするまでもなく、着いちゃったよ。


  地図剣マップソードの表示ではこの向こうに大きなドクロマークが点滅していた。

 おそらく、ここはボスの間だ。


 後ろを見るとメタルリザードが舌をチョロチョロと出している。


 こいつ……。ボスより強いんじゃないだろうな?



ギギギギィイイイイイイイイイ!!



 門に触れると不気味な音を立てて開く。


 ラルゥは魔剣の姿のままブルブルと震えていた。


『こ、この奥にダンジョンボスがいるんですね』


「なんだ、魔剣のくせにボスが怖いのか?」


『だ、だってぇ。ご主人様にもしものことがあったらぁ』


「ははは。大丈夫だよ。俺達は強い。倒せない敵なんていないさ」


『ギュイィ!!』


 背後ではメタルリザードが舌を出す。



「……ま、なんとかなるだろ」



 眼前には大きな像が建っていた。

 30メートル以上はある。


 何かの動物みたいだけどなんだろう?


『ダンジョンボスってどんな姿なんでしょうね?』


「【ひうま】のダンジョンと呼ばれるくらいだからな。きっと火を吹く馬なんだと思う」


 突然の地響き。



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!



 見れば、目の前の像が動き出していた。

 その体から積もった埃が取れて灰色の皮膚が顔を出す。


 なんの動物かわからなかったけど……。


「こいつ……カバだ!」


ボンッ!!


 カバは口から火球を吐いた。



「おっと! 火の攻撃か!!」



 即座に避ける。


『火を吹くカバがボスなんですね!!』


 そうか、火を吹くカバ……。


「あ、そうか! 【ひうま】じゃない 火馬かばって読むのか!!」


  火馬かばは連続で火球を飛ばしてきた。

 その数が尋常ではない。



「流石はボスだ。ラルゥ、気合い入れるぞ!!」


『はい!!』


 こいつを倒せばこのダンジョンは消滅する。


 さぁ、最後のバトルだ!




======================

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武器:魔剣ラルゥ。


魔剣レベル:9。


魔剣スキル: 炎攻撃剣ファイヤーブレード 水攻撃剣アクアブレード 女人化ガール 鑑定剣ジャッジメントソード 小回復剣リトルライフソード 照明剣フラッシュソード 収納斬ストレイジスラッシュ 地図剣マップソード 風攻撃剣ウインドブレード


アイテム:魔硝石314個。金銀財宝多数。


ラルゥの好感度:♡♡♡♡♡♡♡♡♡




貯金:0エーン。

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