第11話 ダンジョン3日から4日目


〜〜ゼロ視点〜〜



 火馬のダンジョン3日目。



 俺は元気一杯でダンジョンを進んでいた。

 魔剣の斬れ味は最高で、ザックザックとモンスターを両断する。



「しゃああッ!! これで124匹目ぇええ!!」


『てれてれってれーー!! れべるあーーっぷ!!』



 よぉし、待ってましたぁ!!




『レベル7になりました。スキル  照明剣フラッシュソード を取得しました』



 ほう、フラッシュとな?


『このスキルは剣を照明のように輝かせることができるんです。でも……今はあんまり役に立たないですかね?』


「いや、そんなことはない! 丁度、カエル戦士の油が切れてきたところなんだ。松明の明かりが消えたら終わるところだった」


『あは! 喜んでもらえて良かったです!!』


「使ってみよう。  照明剣フラッシュソード!」


 すると魔剣の剣身は強い光を放った。


「ま、眩しいな。確かにこの明かりだと松明は不要だ。しかし、他のスキルが使えなくなってしまうな」


『大丈夫です。そのまま剣を振って下さい』


 言われるがままに剣を振る。



ブゥン!!



 すると光は剣から離れて球体となり宙に浮いた。


 こりゃあ、小さな太陽みたいだな。


『一回の発動で一時間は保ちますから。暗くなれば何回も使って下さい。エネルギーはモンスターを斬っている限り無限です』


「それは便利だな! これで松明は必要ないぞ」


 戦うほどに快適になる。

 これなら本当に一人だけでこのS級ダンジョンを攻略してしまうかもしれないな。


「よおおし! やるぞぉおおお!!」


『ご主人様、ファイトです!!』


 こうして、俺はダンジョンに潜り続けた。

 腹が減ればモンスターを鑑定して食し、喉が乾けば 水攻撃剣アクアブレードで潤した。





◇◇◇◇





 火馬のダンジョン4日目。



「うりゃああああああああ!! 231体目撃破ーー!!」


『てれてれってれーー!! れべるあーーっぷ!!』



 よしキターー!!

 どんなスキルだろう?

 攻撃か? 補助か?

 今ならどちらでも役に立つ。特段、敵に苦戦はしていないから、補助系の方がありがたいか。

 とにかく使えるスキル来い!!



『レベル8になりました。スキル  地図剣マップソード を取得しました』



 マップだと!? なんて安直な技名なんだ。

だがそこがいい! もういわずもがな。絶対使えるスキルだ!!

早速使おう。


地図剣マップソード!」


 剣身から光が差し込んだかと思うと、空中にダンジョンの地図が浮かび上がった。


「赤い光の点滅はなんだ?」


『それはご主人様のいる所です。そこを中心に半径50キロメートルまでマッピングが可能ですよ』


 おお! 便利すぎる!!


「あ、でも俺の周囲しか見えないな。かなり先を見たい場合はどうなるんだ? 下の階とかさ」


『指でスライドしてください。2本指で広げれば拡大もできますよ』


 なんとも独特の操作だな。

 早速やってみるか。


 指を右から左へとスライドさせると下の階層の地図が現れた。


「おお!! これは凄い!!」


『えへへ。喜んでもらえて嬉しいです』


 今は19階か……。随分と深く潜ったんだな。

たしか、ギルドの資料では12階までだったと思う。

つまり、そこまでしか冒険者が入ってないんだろうな。

最下層は何階なんだろう?


 スライド、スライド……と。

 お、ここでスライドが止まるぞ。


「地下30階が最後か……」


 大きなドクロマークが点滅している。

おそらくダンジョンボスのマークだろう。



「あと11階。これは行くしかないな!!」


『はい! ご主人様!!』





◇◇◇◇





ーー火馬のダンジョン 22階ーー



「くそぉお。こんなに魔硝石があるのにぃいい」


 俺は魔硝石を抱えていた。

 これは宝箱からゲットした物である。

  地図剣マップソードで宝箱のマークが点在しているので、そこに行けば必ず宝箱があった。

 ギルドの資料では12階まで冒険者が入っているので、それ以降のお宝は未取得状態。地図のある俺は取り放題である。にも関わらず、ここで単独冒険の問題が発生していた。



 持ちきれない。



 魔硝石は売れば1万エーン以上は下らない代物であるが、その重さは1個1キロ以上である。



 今はリュックもないからな。残念だが置いておこう。うう……。

もう100個以上見つけてんのになぁ。勿体ない。



『ご主人様、元気出してくださいね』


「ああ、大丈夫だ」



 俺ってついてないのかなぁ……。

などと落ち込んでいると、2匹のモンスターが現れた。それは見たことのある姿。鋼鉄の甲羅を持った亀タイプのモンスターだった。


「やった!! ついてる!! メタルタートル2匹だ!!」


 亀達は手足を甲羅に引っ込めるとゴロゴロと転がって襲ってきた。


 ふむ。甲羅を避けて斬るだけのイージーな戦闘だな。


 ところが1匹目の甲羅を避けると2匹目が襲ってきた。


「おっと。連携攻撃ね。これは考えられてるな」


 お、しかもオマケ付き。

2匹目を避けると、さっき交わした1匹目が再び転がってくるのか。



「よっと」



 交わしたところでまた次の甲羅がくると……。


『ご主人様。この連携は無敵です!! 私達の体じゃ突進してくる甲羅を真正面からは斬れません。避けて攻撃に転じれないんじゃ負けてしまいます!』


「確かにな」


『に、逃げましょう!! 戦略的撤退です!!』


「そんな勿体ない。こんなチャンス滅多にないぞ」


 メタルタートルは経験値が高いんだ。もうワクワクが止まらん!


『チャンスより命が大切ですよ!! 甲羅に当たればぺちゃんこです!! 死んじゃ嫌ですご主人様ぁああ! ふみぃいい!!』


「あーー。そんな大したことじゃないよ。よっと」


 俺は甲羅を避けると壁にぶつかったメタルタートルを見やった。

亀は甲羅から少し顔を出してこちらを確認する。


 やっぱりな。

俺の位置は甲羅の中からじゃわかんないんだ。つまり目視に頼っている。


 再び甲羅の突進。


「よっと!」


 交わしてぇえ。からのーー。



照明剣フラッシュソード!!」



 剣身は眩い光を発した。


 ひぇえ眩しいぃいいい。

ま、俺がこれだけ眩しいんだからさ。

当然、奴もね。



『ギィジャァァアアアアアア!!』



 亀は目を瞑り悶絶。


 亀の鳴き声って初めて聞いたかもな。


『す、凄いです!!  照明剣フラッシュソードの光で亀の視界を奪いました!! こんな応用があったんですね!!』


「凄いのはお前のスキルさ!」


『んもう! ますます好き……あ、いえ、ゲフンゲフン!! な、なんでもありません』


「さぁ、2人で亀退治といきましょうか!」


「は、はい!!」



 俺は魔剣を振り下ろした。



「うっらぁあああああああああああああッ!!」



ザグンッ!!



 一刀両断。



「おっしゃああ! 1匹目撃破!」


『あは! ご主人様流石です!!』


「残り1匹!!」



 すかさず2匹目の甲羅を避ける。


 今度はそのまま斬るだけだ。



「おらぁああッ!!」



ザグンッ!!



 顔面真っ二つ。



 メタルタートルは全滅した。



『てれてれってれーー!! れべるあーーっぷ!!』



 早い!!

流石はメタルタートル!!

たった2匹でもうレベルが上がったぞ!



『レベル8になりました。スキル  収納斬ストレイジスラッシュ を取得しました』



 ス…… 収納ストレイジ……?



 俺は、胸のドキドキが止まらなかった。



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武器:魔剣ラルゥ。


魔剣レベル:8。


魔剣スキル: 炎攻撃剣ファイヤーブレード 水攻撃剣アクアブレード 女人化ガール 鑑定剣ジャッジメントソード 小回復剣リトルライフソード 照明剣フラッシュソード 地図剣マップソード 収納斬ストレイジスラッシュ


アイテム:魔硝石1個。


ラルゥの好感度:♡♡♡♡♡♡♡




貯金:0エーン。

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