第34話 バーガー兄弟の本気


互いの料理が出来上がり、会場の数名と審査員と司会者が試食する。

不公平にならないように一般人と、審査員と司会者の料理への評価の点数の合計が勝敗を左右する事に。


「 それでは試食ターーイム!

まずは先攻はバーガー兄弟の試食になります。

皆様の手元に運ばれて来ます。

ではお食べ下さいませ。 」


会場の数名と審査員と司会者にバーガーが運ばれて来ました。


「 凄ぉーー い…… 。 」


お客さんは驚愕して言葉が出なくなりました。

運ばれて来たのは単なるバーガーセット。

その単なるバーガーセットを極限までに高めた、最強のバーガーに極めまくった一品。

ポテトは太くて食べごたえあり。


飲み物は専用の海外から直輸入した、最高のシェイクマシーンで作ったいちごシェイク。


肝心なバーガーはと言うと…… 。


「 これは…… 凄い…… 。

まさかこんなバーガーに出会えるとは。 」


審査員の料理研究家や評論家とYouTuberの人達は驚愕してしまう。

自分たちは数々の料理を食べて来ました。

ですが、まさかあのバーガーをここまでに仕上げるとは、到底想像出来ませんでした。


バーガー兄弟が料理の説明に入る。


「 食べたくて苦しいでしょうが、もうしばらくの辛抱です。

バーガーは最高級の和牛三種類をブレンドした、最強にして最悪のバーガー。

その名も…… ジャパンテキサス…… プレミアムワールドバーガーだ!!!! 」


名前は最低…… ここまで最低なネーミングも聞いた事がありません。

正直名前では全く食べる気がしませんが、この料理を見たら話は別です。

三種類のバーグを焼いて、間にはレタスとチーズや目玉焼きが入っている。

そして専用ソースが存分にかかっている。


「 それでは皆様、至福の瞬間でございます。

試食下さいませ。 」


みんなは一斉に試食する。

運命の瞬間です…… 。

審査員の一人がバーガーにかぶりつく。


「 凄い…… こんなバーガー初めてだ。 」


そう言い食べまくる。

一口…… また一口…… その一口がどんどん大きくなっていく。

食べるスピードも上品さから、どんどん下品になっていってしまう。


「 美味しいぃーーーーっ!! 」


一般のお客さんの反応も素晴らしい結果に。

声だけで分かる…… これは間違いなく美味いやつ。


「 さすがですね…… ポテトも一つの油だけではなく、何種類かの油をブレンドした特注品。

プロの揚げ方。

しかも塩加減も最高だ。

外はカリカリで中身はホクホク。

じゃがいも本来の美味さを最大限に出せている。 」


料理人も大絶賛!

ポテトだけでこの評価…… 。

一般のお客さんはどうだろう??


「 シェイクが苺の濃厚な果汁で凄い美味しい。

こんな濃くて冷たくて美味しいの初めて! 」


シェイクも大絶賛。

シェイクの為だけでも通ってしまうクオリティ。

バーガー兄弟は本気のようです。


みんなはバーガーの評価も…… 。


「 素晴らしい…… 。

このハンバーグはそれぞれ違う部位でしょう。

全ての牛さんがこのバーガーの中で、運動会をしている気分です。

この特製ソースが三種類のバーグを一つに、まとめているように感じます。

さすがとしか良いようがありません…… 。 」


バーガーの評価も最高に…… 。

バーガー兄も目をつぶりながらにやけてしまう。

弟はガッツポーズを決めている。


姫や愛さん家族は不安そうになってしまう。

こんな評価されていたら、誰でも不安になって当然です。


「 評価…… 点数は何点なの!? 」


姫が気になり声が出てしまう。


司会のグルコサミンが点数の回収に、みんなの元へ行き合計点数を計算する。


「 終わりました…… 。

合計点数は…… 90点!!!! 」


うぉーーーーっ!!

大勢からの歓声が起こる。

いきなりの高得点。

愛さん家族に動揺が走る…… 。


でもバーガー兄弟は少し違いました。


「 待ってくれっ!!

このバーガーの何処に減点なとこあるんだ?

おかしいだろ!! 」


弟の怒鳴り声な鳴る。

兄貴も抑えつつも点数の理由が気になっている。

会場も動揺が走る。


「 ほとんど満点に近い点数ばかりでした。

…… が、料理人の一人がかなり低い点数を付けていました。

どんな理由なんでしょーかぁーーっ!? 」


司会者がそう言うと、バーガー兄弟は仕方なく引き下がりました。


( お前はバカか?

ここで争っても損しかないぞ。

後は相手の点数を見るだけだ。

だから恥ずかしい真似はやめろ…… 。 )


兄貴が弟の耳元でささやきました。

弟もキレやすいのが弱点…… 。

相手の料理の結果を待つのみ。


会場からは色んな声が聞こえる…… 。


「 何かもう試合決まっちまったな。 」

「 バーガー兄弟に敵うわけないでしょ! 」

「 みんな定食屋の勝利なんて、誰も思ってる訳ないですよね。 」


様々な批判や呆れた声が聞こえてくる。

ボロボロの健と光が会場へ来ました。

直ぐに姫達の居る客席へ。


「 クソ…… まさかこんな事になるとは…… 。 」


健が悔しそうにしている。

姫は後ろに来ていた健に気付き。


「 健!? 何よその怪我は? 」


姫と愛さん家族が直ぐに椅子に座らせて、事情を全て聞きました。

会場に居るのは仕方なく偶然来ていた、黒崎だと言うことも。


「 そうだったのかぁ…… 。

それでどうしてこうなるとはなの??

まだ結果は決まってないよ? 」


姫が健のさっきの弱音の真意を聞く。


「 この勝負は絶対先攻じゃないとダメだったんだよ。

こっちは…… 麺類だから…… 。 」


その言葉を聞き、驚愕してしまいました。

その通り…… 麺類は直ぐに食べないと伸びてしまう。

なので必ず先攻が良かったのです。

最高の食感で勝負したかったのに、もうそれは叶わぬ物になっていました。


「 そんな…… 。 」


姫達は絶望してしまう…… 。

光も悔しそうに会場の罵倒の声の中、悔しくなってしまいます。


「 何を諦めてるの?

まだ諦めるには早すぎるんじゃない? 」


愛さんのお母さんがみんなに言いました。


「 私達が諦めてどうするの。

ステージに立ってる三人は諦めてる?

私にはそうは見えないわ。 」


その通りです。

最高の料理を作るのにどれだけ苦労したのか。

頑張ったのだから最後まで戦うのみ!

みんなはおばさんの言葉で少し気持ちが楽になりました。


「 うっふっふっふぅ〜 。

ふっはっはっはぁーーっ!! 」


会場の声が止みました。

ステージでばか笑いをしていたのは、あのおバカ野郎のハラケンでした。


「 おや? 武蔵のメンバーの一人が笑っています。

どうした事だろうか?? 」


司会者がそう言うと、会場も不適に笑うハラケンを可笑しくなってしまったのか?

と心配になる。


「 まだこっちの料理食べてませんよね?

それでデカい顔しないでほしいなぁ。

逆にこんな盛り上がってる料理に勝ったら、凄い面白くないですか? 」


何とも挑発的な発言!

会場も一気に武蔵の料理が気になる。

ハラケンの発言で空気が一気に変わる。


「 何だと…… 。

なら見せてみろ!! お前達の料理を!! 」


バーガー弟はまたもやキレてしまう。

ハラケンの笑みは消えません。


「 ハラケン…… もしかして麺が伸びる事、頭の中に入ってないんじゃない? 」


姫は不安そうに言いました。

光は嬉しそうに笑いながら。


「 そうかもね…… 。

でもあのバカは諦めてない。

私達は応援しよ? 頑張れーーっ!! 」


「 お兄ちゃんカッコいいぞ!

ガンバれー ガンバれーーっ! 」


力いっぱいに華ちゃんも応援している。

みんなも一緒に応援しました。


( ハラケン…… 何か勝てる根拠でもあるのか?

負けんな…… 。 負けんな。 )


健も不安になりつつも応援しました。

ハラケンの不適な笑みの正体は一体!?

ただバカなのでしょうか?

武蔵の料理の番になってしまう…… 。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る