第9話 定食屋のバイト


次の日になり、ついに健はまだ怪我は完治していませんが仕事をする事に。

二人は大量に朝ごはんを食べ、元気いっぱいで仕事場へ向かう。


「 掃除じゃーー ! 」


健はまず初めにやりたかったのは、ここの店のこびりついた油汚れを落とす事でした。


「 店っ中のはまずは見た目よ。

古風とか昔ながらの親しみ?

そんな言葉は言い訳よ!

みんな綺麗な店につられるんだわ。

さぁー 。 掃除だぁーーっ! 」


健が先導をきって仕事にかかります。

ハラケンもその勢いに負けずに付いていきました。


油汚れは酷く、黄ばんでいて落ちにくい。

リフォームを考える所も多いですが、ここはそんな余裕はありません。

専用の溶剤を使い手作業で落としていく。


「 ホイホイホイホイ! 」


健がテンポ良く落としている姿を見て、ハラケンは違和感を感じていました。


「 おい。 何でお前はそんなに張り切ってんだ?

対して給料も出ないし、人助けと言ってもお前にしてはおかしいから。 」


「 本当にお前さんはまだまだ、まだ甘いのな。

誰かの為に力になる…… 素晴らしい事じゃないかい? 」


そう言いハラケンを真剣な目で見つめました。


( しまった…… 。 俺はなんと言う誤解を。

邪念の塊かと思ってたが、健は変わったんだな。

疑ってしまった俺の方が…… 。 )


ハラケンは自分を恥じようとすると。


「 健君、ハラケン。 飲み物置いとくね。 」


愛さんが笑顔で飲み物を持って来てくれました。

頑張っている二人への感謝。


「 あはは。 大したことありませんよ。

男ならこんな事は朝飯前いや…… 夜食前って感じですよ。」


「 そう? やっぱり男手は便りになるわ。

ウチは女性しか居ないから本当に助かる。

ありがとう。 」


愛さんは何度も感謝して健はデレデレして笑い合う。


( この野郎…… 多分、いや…… 確実に愛さんにひとめぼれしてんな?

だから良いとこ魅せようとしてやがったのか。 )


ハラケンはついに健の真意を理解しました。

それと同時に…… 。


( そう言えば光…… 。

キミは新しい男と上手くやってるのかい?

俺は未だに忘れられずに想う…… 。 )


そして一粒の涙がこぼれ落ちました。


その頃、光はと言うと。


「 はぁ〜 。 全然見つからないね。 」


しゃがみ込む姫。

光は必死にハラケンの写真を見せて情報を集めている。


「 知りませんか? この大木…… 。

凄いデカいんです。 一度見たら忘れられない。

知りませんか? どんな些細な事でも構いません。

誰か知りませんか? 」


光は必死に探していました。

郡山に着き、約一日が経とうとしていました。

バスの運転手は乗った事は覚えていましたが、何処で降りたかまでは覚えていませんでした。

ですが光達は駅前周辺で聞き込みをしている。


実はハラケンのスマホはGPSで光は追う事が出来るようにしていました。

何度か駅前周辺でスマホの情報が出るのですが、直ぐに居場所が分からなくなってしまいます。

一つだけ分かるのはここら辺に居ると言う情報だけなのです。

二人は必死に探していました。


「 ダメだ…… 全然見つからない。

何であいつ電源消したりしてんだ?

電池でも切れてんのかな? 」


光は疲れて少し休憩。

姫もその理由は分からずただ時間は過ぎていきました。


そこへチャラチャラした金髪の男達が近寄って来ました。


「 へい! 可愛いいね。 二人は何してんの?

暇だったら俺達と一緒に遊ばない?? 」


光は直ぐに立ち上がり写真を見せる。


「 この人知りませんか?

友達…… なんです。 」


光は直ぐに写真を見せると。


「 どれどれ…… 知らない…… 。

行くぞお前ら。 」


急に冷たい態度を取り、駆け足で去って行きました。


「 はぁ。 全く情報無しかぁ…… 。 」


光は大きなため息をつく。

セバスは鋭い目線を不良達に向ける。


「 気になりますね…… 。

調べる価値ありですかね。 」


何やらセバスは不良達がハラケン達の事を知っていると思っていました。

あの時の写真を見た瞬間の挙動。

反応の悪さ。

全てが普通とは違っていたからです。


姫達から離れて少し経ち、不良達は裏路地に入って行きました。


「 おい。 あのバカ二人組の知り合いが来るとは思わなかったな。

早く全て片付けた方がいいな。

財布は中身取ってから捨てて、スマホはスマホ決済で限界まで使う。 」


ボスがそう言うと周りも笑う。


「 さすがはボスですね。

いざと言う瞬間までスマホの電源を消す。

本当に悪ですね。

場所も絶対分かんないっすから。 」


みんなはバカ笑いをしている。

そしてボスがスマホの電源を入れる。


( 電話が鳴ってんだから出ろ!

電話が鳴ってんだから出なさいよ。 )


急に爆音で音声が鳴り出しました。


「 なんだこれ!? 」


不良達は慌ててスマホを落とす。


「 やっぱりあなた達だったんですね。 」


ゆっくりと姫と光が姿を現す。


「 なんの事かな…… 。

これは俺のスマホだぞ。 」


苦し紛れの言い訳をしました。

光が尽かさず。


「 さっき鳴ったのはねぇ…… ウチが電話かけたら鳴る専用の着信音なのよ!

言い訳したって無駄よ。

それ…… 返してよっ!! 」


光はボスに飛びかかりました。

男の力に簡単に敵うはずもなく、簡単に避けられてしまう。

そして派手に倒れてしまう。


ズドォーーンっ!


「 だからってなんだ?

お前らにはどうにも出来ねぇーんだよ。

あっはっはは!! 」


不良達は光を笑いました。

光は悔しくて仕方がありません。


「 笑うなぁーーっ!! 」


姫は急に叫びました。


「 あなた達に分かるの?

光がどれだけ心配でそのスマホを探したか。

ここまでどれだけかかったか…… 。

ずっとずっと探してたんだから。

あなた達の汚い心何かじゃ光の綺麗な心が分かるはずないんだから! 」


姫は光の代わりに怒りました。

悔しくて泣きながら声を張り上げました。

光はその気持ちが嬉しくてたまりませんでした。


「 うるさい女達だな…… やっちまうか?

おめぇーらが悪いんだからな。

オラァッ!! 」


姫の顔目掛けて拳を振るう。

姫は逃げずに立っている。


「 姫ぇーーっ! 逃げて! 」


光が叫びましたがもう遅い…… 。

姫は怖くて目をつぶる。


バチっ!!

鈍い音が響く。


「 いてぇー いててててっ! 」


不良が叫びました。

姫は目を開くとそこには…… 。


「 本当に最近の若者は粗相が激しくて敵いませんね。

ここからは私が相手をしましょう。 」


不良の腕を掴み上に上げている。

セバスチャンでした。


「 セバス!! 」


「 お嬢様。 少しばかりお待ち下さいませ。 」


そう言いセバスはジャケットを脱ぎ、不良達の元へ。


「 おめぇら。

あの白髪のおっさんから片付けろ! 」


鉄パイプやメリケンサックを使いセバスに襲いかかる。

セバスは右へ。 左へ華麗に避けながらは一人。

また一人と倒れていく…… 。


「 子供がこんな物持つんではありませんよ。

けしからんですな。 」


セバスが倒した不良は怪我一つなく気絶していきました。

セバスはボディーガードもしているので、姫を守る盾にもなります。

その強さは鬼神の如く…… そして美しく。


「 動くな! じじいーー! 」


セバスがその声の方を見ると光がボスに捕まってしまっていました。

守ると言うのはとても大変なのです。


「 これはやってしまいましたね…… 。 」


セバスはその場で言う事を聞き動きを止める。


「 やっちまえっ!! 」


バコッ!! ドゴッ!!


鉄パイプと拳でセバスをボコボコにしてしまう。


「 セバスさん! 良いからやってよ! 」


光は泣きながら叫びました。

姫はセバスのやられてる姿を黙って見ている。


( お嬢様…… 良いのです…… 。

そのまま絶対動かないで下さい…… 。

姫様…… 。 )


薄れ行く意識の中姫の姿を見ていました。


「 やめなさい!! 」


姫は走りました。

そしてセバスの前へ!


「 姫…… 様。 何故こんな事を。

早くお逃げ…… 下さ…… い。 」


「 逃げられるはずないじゃない!

私の大切な家族…… 傷つけさせませんわ!! 」


執事を庇う姫は居るでしょうか?

姫はセバスもかけ替えのない家族。

守る為に前へ。


「 姫様ーーっ! 」


「 お前のその目…… ウザイんだよ!

黙ってろ!! 」


鉄パイプを姫に振り下ろそうとする。


「 おっほっほっほい。

その手を止めなさい。 」


謎の声によりボスは動きを止めました。

ゆっくりと路地裏に入って来る人影が。


「 私の娘と友達…… 家族を傷つける事は私が許しはせんぞ。 」


そこに立って居たのは姫の父。

白鳥龍平の姿でした。

謎の夏場にコートを着てつけてきたのは、龍平だったのでした。

その場は静まり返る…… 。

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