第28話 測量
「ここで良いのか?」
「はいお願いします」
“ぱーん”
乾いた発砲音と共に100m先の板でつくった的の真ん中に10mmほどの穴が空いた。
「命中ですね」
「この程度なら、何とかあたるな、これ以上は弾が散って、まあ、あたらん」
俺を以前、おこと主様から救ってくれた吉左殿に火縄銃を撃ってもらっていた。
銃を水平に固定し、100m先の的を狙う、開いた穴の下、1.8mの場所が凡そ1度、これを掘りながら繰り返す。この方法で水勾配1度を平均的に測量出来るはずだ。これなら、測量を外に頼んで高い金を払わずともやれそうだ。
「考えたな、名主殿」
隣で見ていた、安兵衛さんが感嘆の声を上げている。
「私の妹殿が思いつきまして、早速、鉄砲名人で命の恩人の吉左殿に試射して貰っておるのです」
これで、いける! 後は掘り進めるだけだ。
「俺も専門じゃねぇから、今一つ具体的に言えねえけどな、全部1度の水勾配で落とすと下の方ではかなりの勢いになっちまうからな、途中、途中で水の勢いを殺すように斜度を無くしたところを作らねえとならねえぞ」
なるほど。やるべきことは、まだまだ、たくさんだな。
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