第25話 槍の使い方

「えい!」


「何をしておいでか?」


俺が、たすきに鉢巻き姿の涼香殿に声を掛けた。涼香殿は等身大の藁人形を立てて、納屋かどっかにあった槍を持ち藁人形の胸当たりを刺している。


「………………」


「涼香殿?」


「兄上がはりつけにされるときは、涼香があの世に送って差し上げます。いまから、こうして苦しまずに送れるように練習をしているのです」


「………………」


お礼言えばいいんですか?


「兄上、あの磔柱は、新しく作った神社の境内に立てておきましょう」


用水路の通る予定の見晴らしのいい場所に工事の安全を祈って建てた神社の事だ。


次回、工事開始

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