第13話 土産話

「兄上、水戸の話を聞かせてくださいませ!」


涼香殿が俺に水戸のみやげ話をねだっている。城と廓の往復だったからなあ……


「旅籠の話!」


何言ってんだ、そんなとこ泊ってねぇぞ。無垢な瞳を向ける妹殿に俺はドキドキしながら、作話を始めた。


「ああ、そうだな。そこそこに広くて、泊っている人は、ボチボチだな。タイやヒラメも舞い踊っていたかな」


ダメだ!体力の限界! 用意して無かった!


訝しんでみる妹殿を横目に俺は部屋を退散した。


次回、見積もり。

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