第11話 帰宅

「兄上! よくも、騙しましたね!!」


ほらね。ご立腹、でも、すっごく、いい!もっと、きつく睨んで!!


「聞いておいでですか!!!」


そう! それ!

ご褒美!!


屋敷に戻った俺を門の前で待ち伏せていた涼香殿に、お説教されているのだ。ご褒美なのだ。

でも、俺はこの可愛い妹殿を黙らせる秘策があった。


「涼香殿、大変申し訳ない。兄の伝え方が悪かった。6時と伝えたつもりが最初の一音をちゃんと発音できておらなかったようで、涼香殿は9時にお待ちいただいていたのであろう。兄は、スヤスヤ気持ちよさそうにしておる涼香殿を起こすかどうするか暫く考えておったのだが、そのまま先に出てしまった。次は一緒に参ろう。その償いと言っては何だが、この根付を土産に買ってきた。水戸の娘どもに大人気らしいぞ、店の主人がそう申しておった」


赤い珠が付いた根付だ。外国産らしい。


「あ、兄上……嬉しいです。ありがとうございます」


ほらね。可愛く微笑んで根付を愛おしく見ている。扱いやすい妹で助かった。


次回、また、あいつかよの巻。

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