第10話 佐々木様
「わが村は日照りの度に凶作に悩まされています。このように10km先の沢から水を引き込めば、水の悩みから解放され、我らはコメ造りに専念できます。是非にとも、この陳情、お聞き届け願えますようお願い申し上げます」
俺は、家で書いた絵地図と、大まかな作業を記した書類を見せながら話を進めていた。対応して頂いたのは佐々木様と言って50歳くらいの領内の土木工事に関しての取りまとめをしておられる方で、コネとしては最高位、普段、いきなり押しかけてお話など出来るはずも無い水戸藩の高位のお方だった。
「そうであったか、いや、そなたの言わんとしている事は分かった。予算の見積もりをさせるのでおって沙汰を待つがよい」
いとこの友人の父上にお目通りが叶い、すぐにでも役人が来て工事の全体を把握し、予算を立ててくれることになった。持つべきものはやはり、コネとカオだな。話が早かった。
明日には松井村に戻るのだが、き、気掛かり……は、涼香……殿……ああ!の事、騙した……ようううううう……な形で出、出る、うう………………
………………
騙したような形で家を出てしまったからな、何かご機嫌取りでも、せねばなるまい。
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