第57話 「2.神社の近くの生家」
優しい探偵〜街の仲間と純愛と〜
ーーー金沢編❷
高木大知の生家は、金沢駅から、徒歩15分程。大通りをまっすぐ行って路地に入った住宅街にあった。ある神社を目印に言われ、僕らは来たのである。桃介と男二人旅になる。
神社の
「大知はね、小さい頃から、元々は大人しい子でね。兄の
「なるほど。私も三兄弟末っ子ですが、似てますね」
「そんな子がね、4年生の時に転校してきた中村君?豊ちゃんって言ってました、彼と仲良くなりました。近くのアパートに住んでいて、通学班が同じでした。彼は一人っ子だったけど、面倒見が良かったと思います」
「ははあ。大知さんは典型的な弟タイプなんですかね」
「あとお父さんの重彦さんね、覚えてますよ。子会社のスーパーに転勤してきたみたいに言ってたかなあ。何があったのか、福岡から遠く金沢に、転勤だったみたいで」
「重彦さんについては、私も金沢で退職してから京都に来た、という事しか知りませんでしたよ。なるほど、重彦さんは元は、福岡。そこから金沢だったんですね。随分、豊彦君も点々としたなあ」
「大知は、豊彦君を兄みたいに考えて接してたんじゃないですかね。近くに神社があったでしょう。豊ちゃんと虫取りしてくる、といって出かけた記憶が、何か鮮明にあります」
「ああ。あの神社ですか」
「この間、連絡を貰いまして、一気に思い出しました。なんせ30年前ですからね。すっかり記憶の奥に眠ってましたね、何もかも」
「お〜い、かおり〜!お茶出しなさいよ!」
「はいはーい」
「あ」
奥から、色白な艶っぽい美人が出てきた、少しだけ美幸に雰囲気似てる。30代にしか見えないが、話に聞く大知の2歳年上、44歳の姉である。えんじ色のカーディガンがおしゃれに似合う気品がある。
「木村さん、見とれないで下さい」
黙っていた桃介がはじめて話す。
「お前な。あ、お綺麗なお姉様で」
「ありがとう、木村さんでしたっけ?独身?」
「はあ。まあ」
「木村さんは彼女居ますよ」
「へー」
「僕は、彼女募集中です」
なぜか桃介がアピールする。
(あら、桃介だって彼女いるんじゃなかったかな。金沢でお姉さん口説いてどうするんだろ、年上好みなんだっけ。彼特有ジョークか…)
「あなた
「28歳看護師です」
「ふ〜ん、ナースマンか」
「香、お前は、大知と連絡した最後はいつだ?」勲さんが、聞く。
「そだね。夏?」
「そうか。大知は、連絡するんだな、お前には」
「私がかけたんだよ!」
「何で?」
「東京行きたいから?泊めてもらおうかと思って?」
「コロナなのに東京行ったんだったかな?」
「やめた〜。ライブ中止になったし?」
「そうだよな。お父さん、大輔を預かった覚えないからな」
「ママ〜」
奥から小さな少年が出てきた。低学年生かな。
「大ちゃん、静かにしてっ」
香は、キッと軽く睨んだ。
「え、なんでよお」
「大ちゃん、お兄ちゃんと遊ぶか?」
「この子、
桃介が、奥の部屋に大輔君を連れて行ってしまう。(アイツ子供好きだったかな)
「で、聞きたいのがですね、『思い出の場所にいるのではないか?』彩花さんがそう言ってるんですよね。何か思い出のアルバム写真とかありますか?例えば、大知さんと豊彦さんが一緒に写ってるやつとか?」
僕は、お姉さん、そして勲さんにやっとこさ、本題を切り出したのである。
「1回は……1回は、豊彦君の家族と旅行に行った記憶があります。何処かは覚えていませんが。大知は、大人しい割に友達が多い子でしたからね。私も余り普段に話はしない代わりに、よく近場ですが、旅行に連れて出かけていましたよ」懐かしげに勲さんが話す。
「家族ぐるみで旅行ですか。いいなあ。僕は無いなあ」
「豊ちゃん以外にも、行きましたよ。しかし、アルバムか。う〜ん。写真は取るのはだいたい家内です」
「アルバムあるかなー。もうアルバムなんて何十年も見てないからねー」
香は、発言がいちいちサバサバしている。
「お父さん、大知の部屋にアルバムあるんじゃない?」
「わかんないな。お母さんが居ないから。今、うちのが入院してましてね」
「あ、そうでしたか。それはご心配ですね」
「そっか。考えてみたら、私、豊彦ってわかるかも。ひょろっとした背の高い子じゃない?」
「はいはい。写真あります。これ。」
僕は、中村旅館から盗み出したアルバムから撮影した写真を見せた。
「やっぱり。私、見たことあるよ、この子」
「大知さんのアルバムに、豊彦さんが写ってる写真は、ないですかね?京都で見た豊彦さんのアルバムは、友達と写ってる写真が皆無で、皆家族3人だけのスリーショットでしたから、手がかりがなくて」
「分かった。ちょっと大知の部屋に行こ」
僕と、香さん、勲さんは、階段を上がり、大知の部屋に移動したのである。
(長いかなあ。生家の会話は続くのである。カ〜イワは、つづく〜よ〜♫、ど〜こまでも〜♫野を超え山超え〜♫)
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