第49話 「美幸は3姉妹」
猫探しの途中だが、この間の美幸の妹の
電話である。
「れいさん、週末、泊まりに来るよね?」
「はあ。」
「土曜日、妹が朝から来て、まだ居るかもだけどいい?」
「あ、妹?学生の
「美結。」
「えっ。良いけど。美結ちゃんは夕方には帰る?泊まりか?そしたら俺は泊まらない方がいいのだろ?」
「いや、美結は気にしないから、だいじょうぶだよ。多分、夕ご飯食べて帰るかも。」
「桃介も、じゃ連れて行くよ。考えて見たら同じ看護師じゃないか。」
「木村さん、すいません。その日はデートだから、行けません。」
電話する横から桃介が口をだした。
「そうか。じゃあ、俺一人で行く。あ。美幸?聞こえた?桃介は行かないって。」
「そうなんだあ。」
しかし、姉妹の家に独りで行くのは気が引けるのである。妹は話には、聞いていたが、初対面である。
美幸の聞くところよれば・・・
しかし、考えてみたら、俺は美幸の細かな話を余りしていなかったのである。
恋人の美幸の話しである。短大福祉学部卒、100床程度の民間病院で、医療事務をしていている。3人姉妹の長女で、父親は、一流大卒の予備校講師で持病ある58歳、母はパート看護職員53歳なのである。姉妹が2人進学だし、ご両親もかなりご苦労なのだなあ。末っ子の「美咲」も現在は高3だし、そうなると3人進学である。
美幸の家ーーーーーーーー
「いらっしゃい。」
いつもの1DKワンルームである。玄関を入るとキッチンある小さい部屋、奥の部屋は、やや広めの美幸の生活スペースだ。全面、少し寒々しいがフローリングである。
キッチンでは、美幸が料理の身支度をしていた。美幸は袖の長い水色のセーターに茶色いスカート。袖を少しまくって、包丁を握っていた。
「刺さないでね。」
「刺そっか?(笑)」
「おいおい、なんでよ。」
「待ってて。(ニッコリ)」
部屋を見ると、以前あった小さいちゃぶ台が、3人が食事するのに丁度良い大きなテーブルに変わっていた。
美幸は、最近、低めの四角の木目デザインのオシャレなテーブルを買っていた。美結がちょこんと座っていた。
小顔で体格も華奢だ。茶髪は、美幸より明るい。服装は身体の曲線美をやたら強調するような、ぴったりした長めの淡いピンクのセーターに、スキニージーンズだった。
美幸と比べるからなのか、つい見つめてしまう。同じく色白、目が美幸以上に黒目がち。美結の唇の方が小さいが、流石に姉妹は似てる。しかし美幸の妹にしては、少し大胆かなあ。若い女の子は、よくわからない。どちらにしても美人姉妹に驚いていた。
「はじめまして、こ、こんちは。」
「はじめまして、妹の美結です。」
お互いに初対面で、ぎこち無く挨拶した。
「出来たよ〜〜!!」美幸が、沸騰してグツグツした「もつ鍋」の入った土鍋をそ〜っと、運んでくる。
さらには、美結も手伝い運んだが、レンジでチンした唐揚げ。あとは、レタスや、ミニトマト、きゅうり、玉ねぎスライス、オクラ、の盛りだくさんサラダが本日の会のメインのようである。
酒もあるのかな。
さあ、食べようかと言う時、「ちょっとごめん。」
「どしたの?」
「お花摘みに。」
「ええ。ええ。どぞどぞ。」
美幸は、トイレに立った。
「れいさんって、お姉ちゃんみたいな女性がタイプなんや?」急に美結が話しかけてきた。
「まあね。あ、大阪弁なの?」
「大阪いたら、大阪弁みたいになっちゃった。」
「そういうもんなんだねえ。(淡々)」
「私、マヨネーズとってくる〜。」
美結が立つと、ジーンズのお尻が何か随分と丸くプリンとしている。そんなデザインなんだろうな、そう思うやいなや美結が振り返る。
「お尻、きれいでしょ。」
「はっ!?」
「ニッコリ。」
「ちょっと…。全く変な
(なんで考えたこと、わかったんだろ。)
僕は急に汗をかく。
美幸がトイレから出てきて、マヨネーズを取って戻る美結と重なる。
「ドレッシングあるじゃん。」
「そらお姉ちゃん、サラダは、マヨネーズやろ。」
3人で席に着く。
「二人は、今日何してたの?」
「ネットみたり、ごろごろしてたかなあ。」美結
「二人で?」
「二人で買い物には行ったよ。スーパーに。」美幸
「あ、そう。」
「あれかな、朝霞から学校は近いの?」
「電車で15分くらい?」
「そうなんだ。病院に実習とか行くんでしょう?」
「そうそう、れいさんって、よく知ってるね!」
「だって、桃介が看護師だから。学生時代によく悩みを聞いたよ。だいたい教務の先生か、実習先の教えるナースが怖いんでしょ。」
「受けるんやけど。(笑)」
「まあ、なんの世界もプロは厳しいよな。」
もつ鍋の沸騰がやや収まる。
「あ、そっか。ビール持ってくるね。」
美幸がまたキッチンの冷蔵庫に席をたつ。
美結がじっと見つめる。
「え。どした?」
「れいさんって目が大きいね。」
「どっちがよ。美結ちゃんはめちゃくちゃ目がぱっちりだぞ。カラコンか?」
「茶色のやつや。」
「あ、そう。俺もコンタクトやな。」
なかなかに、美幸と美結と僕という、美人姉妹と探偵の化学反応は、どうなるのか、実に気になるところだが、本題から逸れすぎるから、また続きはいつかにしよう。
来月の5日ではなく、いつかである。今話は、たまにする寄り道である。ユー○ールであ~る。美結ちゃんも嫌いではない。
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